【SDGs】from PARTNERリサイクルで生まれ変わり続ける服

Prologue

2021年に始動したコットン製品のリサイクル「UPCYCLE COTTON PROJECT」。第一弾のデニムに続いて、カットソーとスウェットが登場しました。

スウェットは、発売するや人気商品に。京都藤井大丸店スタッフの竹之内も心をつかまれた一人です。今日はアパレル開発課の清水とともに、プロジェクトのパートナーである繊維専門商社・タキヒヨー株式会社の渡邉さんに話を伺い、その魅力を深堀りしました。

左から、スノーピーク 竹之内(京都藤井大丸店)、清水(アパレル開発課)、タキヒヨー渡邉さん。

リサイクルだからこそ「定番」にこだわって。

渡邉さん 洋服を作るときに出る裁断くず、不要になった服をもう一度「綿」の状態に戻し、糸に生まれ変わらせてコットン製品を作る「UPCYCLE COTTON ROJECT」の第二弾、いかがですか。

竹之内さん 毎日でも着やすいカットソーとスウェットは、今までスノーピークアパレルにはなかったアイテムですね。

清水 できるだけ多くの人に手に取っていただきたくて、ベーシックなアイテムにしようって企画段階から決めていたんですよ。だから誰が着ても似合うように、あえてデザイン性も抑えて、ロゴの刺繍もさりげなく。

渡邉さん 身近なもの、手の届きやすいモノを世に出して、これをきっかけにサステナビリティを実感してもらえたらうれしいですよね。リサイクルのアイテムを定番として発売し続けるのは、アパレル業界でもなかなかやっていないことだから、意義は大!だと思います。

小さくアスタリスクマークの刺繍が施されている。

袖を通した瞬間、着心地のよさに包まれた。

竹之内 私が最初に魅力に感じたのは着心地のよさです。試着室でセットアップで着てみて、もうそのまま一日着ていたくらい(笑)。それに生地がしっかりしているから、シルエットもきれいなんですよね。

清水 ヘビーウエイト地ならではのハリ感があるから、リラックスウェアになりがちなスウェットのイメージを変えてくれます。

竹之内 そうそう。品のあるスウェットという感じですね。

スウェット、パーカー、カットソーなど10型が登場し、それぞれ3色展開となっている。

渡邉さん 生地感にはこだわりましたね。企画段階では厚すぎるかなとも感じたのですが、今思えば、それがよかった。型崩れも色落ちもしにくくなっています。

竹之内 そう、ガシガシ洗っても、シルエットが崩れないんですよ。日常着としてはもちろん、キャンプでも使いやすいです。インサレの上に重ねれば保温性が高まるし、パンツは内側に縫いしろがないから寝転がっても快適。私は本当にこのシリーズが好きで、自分でいろいろ使っているので、スタッフやユーザーさんに熱量を持ってオススメしています。

愛用者である竹之内のスタイリング例。
左)スウェットパンツ(M)は襟付きシャツを羽織ると程よいリラックス感に。
中)カットソーに焚火ベストとデニムを。スノーピークらしい鉄板スタイル。
右)スカーフを巻いて街仕様に。スウェットパンツはSを着用。

第二弾の開発は難題が続々

清水 開発の難しさでは第一弾のデニムとの違いはありました?

渡邉さん 強度という点では今回のほうが難しかったですね。強度のある糸を裁断くずから作っていくのは、はっきり言ってかなり面倒なことなんです(笑)。そもそもカットソーやスウェットは細い糸を使ううえに、1本の糸で編んでいくので切れやすい側面があります。これをやっているのは世界でもスノーピークだけなんじゃなかと…。
 
竹之内 それでもシーズンごとにラインナップが増えていますよね。今回はカラーバリエもありましたし!

裁断くずなどの素材を綿に戻し、再び糸にするまでには、多くの人の手がかかっている。

渡邉さん 色の調整もまた難しいんですよ。裁断くずを人の手で色分けし、それを染めて、糸にして、生地を作るのですが、もともとさまざまな色の素材を使っているため、どうしてもムラ感が出てしまうんです。1色なら効率がいいのですが。
 
清水 でも、カラー展開をして幅広い年代の方にお届けしたい。

渡邉さん ですよね(笑)。そこで、生地の魅力でもある粗野感は残しながら、ナチュラルなカラーバリエを展開するという、手間がかかることに挑戦したわけです。それをこの価格帯で出せているのは、実は本当にすごいことだと思っています。作っている私たちもびっくりです。

サイドポケットなど、シンプルながら細部までこだわりを詰め込んだ。

UPCYCLEを可視化して回収率向上へ

清水 今はリサイクルコットンの使用率が全体の20%くらい。もっと上げていきたいですよね。各店に設置している回収BOXの反応はどうですか。

竹之内 藤井大丸店は回収率が高いほうだと思います。「回収していると聞いたので」と、紙袋いっぱいに着なくなった洋服を詰めて持ってきてくださるユーザーさんもいますよ!

渡邉さん それはうれしい。海外はサステナビリティの意識が高い人も多いので、海外の店舗でも回収していけたらいいですね。リサイクルをもっと可視化させて、原料を多く調達することが今後の展開のカギを握っています。

回収BOXは、スノーピーク直営店や一部取り扱い店に設置している。

清水 たとえば「今シーズンの製品は、いついつ回収した洋服からつくっています」と情報発信ができたら、買う人も回収に協力してくれた人もリサイクルを実感できます。そして、着終わった服を持ってきてくれた人が、また買いに来てくれるというサイクルができたらいいなと思っています。

竹之内 スノーピークにはギアを育てて長く使うというスタイルがあって、私も入社してモノの選び方が変わりました。「UPCYCLE COTTON PROJECT」も同じことだと思います。サステナブルと聞くと大変なことと思いがちですが、ますは手の届く範囲から、そういうもの選びをする人が増えたらうれしいです。

Epilogue

着終わった服の行き先はごみじゃない。その先には続くストーリーがある―― UPCYCLE COTTON PROJECTは、タキヒヨーとスノーピークが心を一つにして取り組んでいる活動です。購入や回収という方法でみなさんに参加していただけたら、この小さな取り組みもいつか大きな羽ばたきとなって、未来の環境に役立てるはず。ぜひ力を貸してください。