何万年も昔、私たちの祖先が空腹を抱えながら三日三晩、命がけで原野を放浪し続けて、やっと仕留めた獲物を口にした瞬間のよろこびは、どれほどのものだったでしょう。生きるために食べる、それこそがおいしさの本質だとスノーピークは考えます。
現在は手軽さと便利さだけを満たす食が増え、過食やフードロス、伝統的食文化の消滅など、多くの問題が生まれています。
私たちはもう一度「食」の原点を考え、青空の下で、土の匂いを嗅ぎ、五感と想像力をフルに使って食べる体験を通して、食材のありのままの姿を知り、「食」が生命の循環であることを伝え、生産者への感謝の気持ちにつなげています。
自然豊かな場所で、焚火や炭火で食材を長い時間をかけて料理し、みんなで笑いながら食べる。それだけでいつもの何倍も美味しく感じるのはなぜでしょう。
道中に売られているとれたての野菜や、地元産のお肉など、その土地ならではの食材を作り手と会話しながら購入する、こんな機会は都会のスーパーでは味わえないもの。
キャンプは美味しさはもちろん、食文化と向き合うきっかけにもなります。
私たちスノーピークは、マルシェや収穫体験など、地域に訪れた人と地域の生産者をつなぐ活動を積極的におこなっています。マルシェを通して地域の生産者と消費者との接点が生まれ、収穫体験をきっかけに素材本来の姿を知り、命のありがたみを知る。
スノーピークのフィルターを通じて、消費者と生産者、そしてその土地の食文化、その土地で採れた自然の恵みをつなげていきます。
都市型レストランSnow Peak Eatで提供している野菜は、品種改良されておらず、昔から農家に受け継がれてきた日本古来の風土がもたらす個性を宿した種から育てた「古来種野菜」。
いつものスーパーで見かける野菜とは、ひと味もふた味も違います。育てるのも手間ひまがかかり、市場にはなかなか出回りません。
それでも野菜本来の旨味や苦味がしっかりある、滋味深いおいしさです。何よりもつくり手の「古い時代から続く種を守りたい」「次の時代を担う子どもたちに知ってほしい」という熱い想いが味わえます。
世界農業遺産(GIAHS)に登録されている新潟県・佐渡島。300年余の歴史を持つ「岩首昇竜棚田」では、全国から集まった参加者と、スノーピーク社員が、春になると一つずつ手で苗を植え、秋には参加者が鎌を手に、黄金色に実った稲穂を一束ずつ収穫します。
そうしてできあがった「棚田米」を、都市型レストランSnow Peak Eatで提供。一部のスノーピーク直営店で販売しています。
収穫体験をきっかけに、素材本来の姿を知り、命のありがたみを知る。そして、その土地で採れた自然の恵みをつなげていきます。
食べることは、生きることとつながっている。
私たち人間が本来備えている「野生の感覚」が
おいしいと感じる瞬間を、一人でも多くの人に。