僕らが難燃素材を追求する理由Development of fire resistant material

焚火を囲んでユーザーの皆様、スタッフ同士が、火を見つめ、語り合い、繋がる。この素晴らしい人と人の繋がる文化の中で、より快適に焚火を楽しんで頂けるようにスノーピークアパレルは難燃素材の開発を行ってきました。

焚火の際に飛ぶ火の粉は物性融点の低い合繊素材を溶かしてしまったり、お酒が入った席で万が一焚火のすぐ傍にいて衣服に引火してしまっても、火元から離れれば自然に沈火します。人との人のつながりあう場をより安心して快適に過ごして頂くようにと、この素材にはそういう願いと思いが込められています。

焚火という文化があるからこそ追求した素材開発

「難燃素材」。

あまり聞きなれない言葉です。素材自体が燃えにくい、引火しても火元から離れると沈火する特性もつ素材のことですが、一般的には消防服や工場のワークウェアといった、限られた用途で使用されることが多いです。従来のアウトドアでは、防水性や耐風性、吸水速乾性といった、主に風と水に対してどう対処をするか、という事に主体を置いて開発されている素材が殆どですが、「焚火」という文化があるスノーピークでは、最も重要な素材のひとつといえます。

難燃素材にも色々と種類があり、生地に薬剤を後加工するもの、難燃性物質を繊維の中に混有させるもの、難燃性物質のみで構成するものなど。後者になればなるほど難燃性は上がり、スノーピークアパレルは立ち上げから様々な手法、アプローチで難燃素材の開発を行ってきましたが、2018FWシーズンのTAKIBIシリーズに使用される素材が、これまでの集大成にあたります。難燃素材の代名詞的な存在として、アラミドという素材があります。そのアラミドの中でも特に耐熱性が強い消防服などにも使用されるメタ系アラミドを生地全体の98%に使用して今季のTAKIBIシリーズの生地は作られており、生地組織も引き裂きに強いリップストップを採用。生地厚も着心地を損ねない、ハリ感の中に適度な柔らかさとしなやかさを持たせた絶妙な肉感に仕上げました。
※2019SSシーズンからは更に改良を重ね、アラミド100%の組成となっています。

この素材を使用し、2018FWシーズンはカバーオール、パンツ、ベスト、ダウンジャケットの4アイテムを展開しています。秋口から冬まで、焚火がより恋しくなる季節に合わせてディティールもテントの設営や常時使用する携帯ギアの収納力、取り出しやすさ、寒暖の激しいフィールドに対応できるレイヤリング性を考えてミニマルにデザインされたアイテム群は、そのままの格好で街に繰り出しても日常着として機能します。

火の粉に遮られない、心地のいい焚火の時間を。

ところで、僕は極端な性格なので、下嶋さん、屋宮さんと関東エリアのストアキャンプに参加させていただいた際に多くのお客様が「難燃=燃えない」と間違った認識をされていたので、自分のTAKIBI カバーオールをパイルドライバーにかけ、2WAYトーチで放火し、半焼した段階で火を止めると自消作用で火が消える様を見せ、みなさんに「難燃」の正しい知識を身につけていただきました…という話はどうでもよくて(笑)

自分の中で焚火は、友人やスタッフ同士の自然な、そのままの自分の言葉が出てくるパワースポット的な場であると共に、自分自身のことを鑑みたり、ぼけっとしたりと、無意識なのに考えている不思議な空間でもあります。なぜかピュアになります(なった気になる)ね。

そういう感覚の時、いい感じのときに火の粉が気になっていたら、本当にイライラしますよね、現実に戻されたような感じがして……TAKIBIシリーズはその解消ウェアです。井上陽水の「夢の中へ」ではありませんが、探し物をしている人間に「それより僕と踊りませんか?」という提案は普通に考えてとんでもないことだと思いますが、同時にすばらしいことですよね。焚火の際も火の粉を気にしているとそんな発想でてきませんよね。TAKIBIシリーズを着て安心できれば、「夢の中へ」です。いってみたいと思いませんか?

焚火という人と人とがつながる文化をより深く、次の世代、また次の世代へと継承していけるようマテリアルの部分でも、思いをのせて開発していき、服としてのデザインに落とし込む。スノーピークアパレルはこのような理念、信念を基に作られています。是非店頭にお越し頂き、実際に触って、試着して、フィールドで使って頂けると感じて頂けるものがあると思います。今年の秋から冬かけてのキャンプは、焚火がより身近で恋しくなりそうです。