【コラム】 from STAFF家でも外でも、美味しいご飯を。
Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS 総料理長Kazushige Domon/土門 一滋
Prologue
キャンパーならきっと誰もが知っている、青空の下で食べる、炊き立てご飯の美味しさを自宅でもというテーマで誕生した「土鍋膳」。コンパクトなフォルムは、使いやすさはもちろん、対流効率を高めて美味しさを追求した必然の形です。
Snow Peak FIELD SUITE SPA内にある「Restaurant 雪峰」では、ディナーコースの〆に、この「土鍋膳」で炊き上げたご飯をご提供しています。
今回は、日頃から「土鍋膳」を使っている総料理長の土門に、その魅力について話を聞きました。
◇フォルムに秘密あり。
土門:
「直径20㎝ほどの『土鍋膳』は、高耐熱陶器製。小ぶりで深型の形が特徴的。
内径が狭く高さがあるため、水分の蒸発に時間が掛かり、もっちりとした食感と甘みのあるご飯が炊き上がります」
取っ手の両サイドの穴から蒸気が上がる。
「さらに、蓋の蒸気穴の位置と大きさも絶妙なんです。
水蒸気が抜けすぎると、ご飯が焦げたり、十分に蒸らせないことでナマっぽく仕上がってしまったりするので、これが最適解。熱伝導が良いから、比較的早く炊けるんですよ。
火にかけて約5分、穴から湯気が上がってきたら弱火にして15分、火を止めて10分蒸らして炊き上がりです」
◇地元の米のポテンシャルを高める
ディナーコースでは、お客様ごとに「土鍋膳」で炊いたご飯を提供する。
土門:
「『Restaurant雪峰』では、フランス料理に和の要素を取り入れたディナーコースを提供しています。
“雪峰”らしい世界観の中で、メリハリのあるメニュー作りを心掛けていますね。ご飯はメインの肉料理に続くので、単体で完成された一品として楽しんでいただけるよう、季節の素材を使った炊き込みご飯にしています」
ふっくらと粒が立つ、炊き上がり。
「米は地元・下田産のコシヒカリを使用。
そこに旬の海の幸、山の幸をふんだんに炊き込みますが、主役はあくまでも米です。下田の自然の中で育った米のポテンシャルを引き出して、皆さんに味わっていただきたいなと考えています。
そのためにも『土鍋膳』の力が必要なんです」
◇香りも見映えも引き立ててくれる。
「〆の炊き込みご飯は、季節ごとに内容を変えています。新作がほとんどですが、好評だったメニューをブラッシュアップして登場させることもありますね。
そのひとつは、夏限定の『鰻とカレー』。鰻の蒲焼とカレー系のスパイスを炊き込んだオリエンタルな逸品です。多彩なスパイスを使うのはフレンチの手法。良いアクセントになってくれて、お客様にも大変喜んでいただきました。
キッチンで炊き上がったご飯は、「土鍋膳」のまま、真っ先にお客様の席へお届けします。
テーブルにお持ちして蓋を開けると、まず香りとルックスに歓声が上がります。「土鍋膳」の黒が米や具材の美しさを引き立て、見映えも抜群。目も鼻も舌も、五感で楽しんでいただいています」
【レシピ】 鯛の土鍋ご飯
土門シェフに、鯛の切り身を使った炊き込みご飯のレシピを聞きました。お家やキャンプで、ぜひお試しください。
〇材料
・鯛切り身:100g
・にんじん:適量
・しめじ:適量
・米:2合
・水:360ml
・めんつゆ(3倍濃縮タイプ):大さじ2
・酒:大さじ1
・万能ねぎ:適量
・白ごま:適量
○作り方
1)お米を流水で3回ほど洗ってざるにあげ、水気を切る。水気が切れたらお米と水、めんつゆ、酒を鍋に入れて、30分浸けておく。
2)にんじんは皮をむき、5㎝の長さの千切りにする。しめじは軸を落とし、小分けにする。
3)鍋ににんじん、しめじ、鯛の切り身を乗せて蓋をし、強火にかける。
4)沸騰したら、弱火にして15分炊く。15分後、蓋を少し開けて水分が残っていないかを確認する。
5)最後に中火で20秒ほど火にかけたら、火を消し、そのまま10分蒸らす。器に盛り、万能ねぎやごまを散らして、できあがり。
Epilogue
コンパクトで使いやすく、ごはんのおいしさを引き出してくれる「土鍋膳」。
旬の素材をお米と一緒に炊き上げて、日本の四季を味わってみる――そんな季節の楽しみ方はいかがでしょうか。