【生産者】 from PARTNER生産者を訪ねて vol. 2

Prologue

その土地で採れた自然の恵みを、広い空の下で調理して五感で味わうこと。まさにキャンプの醍醐味です。そんな体験を身近に感じてもらいたくて、スノーピークでは、都市型レストラン「Snow Peak Eat」と、地方型レストラン「Restaurant 雪峰」を運営しています。

私たちが大切にしていることは、生産者の想いとともに皆さまに料理をご提供すること。そのために、生産者の元へ訪ねて、時には収穫のお手伝いをしながら、食材の特徴やより美味しくいただける調理方法などを聞き、皆さまに提供させていただいています。

今回、体験型複合施設スノーピークランドステーション白馬(以下LS白馬)内の「Restaurant 雪峰」でシェフをしている西本が訪ねたのは、白馬村で水稲やミニトマトを栽培している太谷農場の太谷敏也さん。旬の食材をレストランに提供いただくほか、「LOCAL FOOD TOURISM」でもご協力いただいてます。生産者としての想いや今後取り組んでいきたいこと、白馬村の未来について語ってもらいました。

フルーツのような甘さが自慢のミニトマト。

スキーヤーとしての顔も持つファーマー。

太谷さんとの出会いは、まだLS白馬が開業する前、地元の方からの紹介がきっかけです。ミニトマトを試食したらとにかく甘くて…。休日はお子さんたちとLS白馬に遊びに来てもらってますし、逆にうちのスタッフが収穫に行くこともあります。仕入れ先というよりは、近所にいる友人のような関係です。

雪深い白馬村で生まれ育ち、小さいころからスキーに打ち込んでいた太谷さん。今なお現役のスキー選手として、そして現在はスキースクールのコーチとして後進の育成にも励んでいます。ゲレンデを主戦場としてきた太谷さんがなぜ農家を志したのでしょうか。

太谷さん:
「祖父や父も米作りをやっていて『将来は自分の田んぼを持ちたい』と子どもながらに抱いていました。また、農家とスキーヤーはどちらも通年で働くことが難しい仕事。夏は農業、冬はスキーといった労働スタイルを確立できれば自分の特技を生かしつつ、やりたいことにも挑戦できるのではと思い、大学卒業後に白馬村の農業法人に就職しました」

知識とノウハウを身に付けていくうちに農業の奥深さに魅了され、10年余り働いた後に独立を決心。2015年に太谷農場をスタートしました。

太谷さん:
「米作りではハウスで育苗してから5月ごろ田植えを行い、ミニトマトは作付けが6月ごろ。さまざまな農産物にトライしたかったので、ハウスをうまく活用できるミニトマトの栽培を最初に選びました」

宝石のようにぴかぴか。どのような料理になるのか楽しみ。

自然と共存しながら“おいしい”を探求。

太谷さんが栽培するミニトマトの最大の特長は甘さ。7月~8月にかけてあまり水を与えないことで根張りを強くし、さらに昼夜の寒暖差を生かしてフルーツのような甘さを引き出します。

太谷さん:
「質を一番に考え、今はあえて量を作らないということを実践しています。取引先やお客さんの笑顔や感謝、『おいしい』の言葉をいただくと、次はもっとおいしいものを作るぞというモチベーションになります」

カギとなるのは日照時間や降水量、気温といった自然環境。それだけに近年の異常気象には頭を悩ませているそうです。

太谷さん:
「気温の上昇は特に深刻で、田んぼはもちろん、ハウス栽培にも影響を及ぼします。温度調整やかん水には細心の注意を払うほか、データ分析などにも注力し、作物にとっての最適な環境を常に模索しています」

自然を相手にする農業は、スキーと同様で試行錯誤の連続だそうですが、「デメリットばかりではない」と太谷さんは言います。

太谷さん:
「温暖化は決して喜ばしいことではありませんが、寒冷地である白馬村でこれまで栽培が困難だった作物ができるようになったことも事実です。これからも自然とうまく向き合いながら、土地や気候に適した作物を食味にこだわって育てていきたいですね」

太谷さんの作物づくりへの情熱に感服。

白馬の豊かな食文化を未来へつないでいく。

地産地消を推進する太谷農場は、スノーピークが企画する生産者と消費者の交流を目的としたキャンプイベント「LOCAL FOOD TOURISM」にも参加。ミニトマトの収穫体験やトークイベントは好評を博しました。

太谷さん:
「私自身も消費者と対面できる場を設けたいと考えていたので、声をかけてもらった時はすぐに協力しようと決めました。子どもたちのいきいきとした表情が印象的でしたね。農業のすばらしさや私たちの想いを伝えられるだけでなく、消費者の声を聞けるいい機会ですので、今後もスノーピークさんと連携しながら積極的に行っていければと思っています」

最後に生産者としての願いや、太谷さんの目指すビジョンについてを話してくれました。

太谷さん:
「LS白馬ができて以降は夏場の観光客も増え、まち全体が盛り上がっています。訪れた人たちが食への感謝の気持ちや関心を深めてくれればうれしいですね。これからも地域に対する熱い想いを持ち、農業を通じて自然が広がる美しい景観や白馬の魅力を未来へとつなげていきたいです」

色鮮やかなサラダに。新鮮でおいしそう。

Epilogue

いかがでしたでしょうか。食への想いや自然との向き合い方など、生産者それぞれの熱い想いがあります。レストランで提供させていただく料理や収穫体験などをとおして、食の大切さや自然の豊かさ、そしてその土地の魅力を私たちスノーピークは発信していきます。