【日本酒】from STAFF焚火と野生の酒。

Prologue

キャンプにとって焚火は、いわば代わりのない主役。そんな焚火の時間をより一層楽しむために朝日酒造と共同開発し生まれた野生の酒「久保田 雪峰(くぼたせっぽう)」。日本酒界で確固たる地位を築く「久保田」ブランドをつくる朝日酒造が、なぜスノーピークをパートナーとして選んだのか。

「黒×黒」の配色が特長のボトルデザイン(GOOD DESING AWARD BEST100に選出)を担当したスタッフの近藤が、焚火と久保田 雪峰の魅力や相性、楽しみ方についてご紹介します。

◇新たなキャンプスタイル「日本酒」と「焚火」。

スタッフ 近藤:
「キャンプに欠かせないものと言えば焚火。私たちスノーピークもその重要性から焚火を楽しむためのさまざまな製品を数多くリリースしてきました。

『焚火台』もその一つ。今はあらゆるブランドから販売されている焚火台ですが、その先駆けは私たちスノーピーク。パイオニアとしての自負はもちろん、私自身もこの製品のおかげでスノーピークに出会うことができたこともあり、焚火台には特別な思い入れがあります。

焚火の時間をさらにじっくりと味わうことができるツールはないだろうか―。そんな中たどり着いたのが焚火と日本酒の組み合わせでした。炎の尊い揺らめきに想いを馳せ、ゆったり自然の中に溶け込む感覚を堪能するには、日本酒という情緒ある飲み物がぴったりだと考えたのです」

「同じ新潟で長年実直に酒造りに取り組んできた朝日酒造の銘酒『久保田』が思い浮かんだ私たちは、この新たなシーンの提案を持って門をたたきました。天保元年(1830年)創業の朝日酒造が創業時の屋号にちなんで名付けた久保田は、1985年に発売を開始。しかし、品質本位で自社開発にこだわる朝日酒造はこれまで久保田と他企業とのコラボを一切行ってきませんでした。

『アウトドアで楽しめる日本酒を一緒につくってほしい』。時間をかけながら関係性を築き、私たちの熱い想いを形にするためのプロジェクトがスタートしました」

◇選ばれたのは規格外とされた「ワイルドすぎる」酒だった。

スタッフ 近藤:
「開発コンセプトは『焚火にあう日本酒』の一択。スノーピーク側のイメージやアイデアを吸い上げた朝日酒造が出した答えは、通常に比べて倍以上の時間がかかる“山廃仕込み”によるものでした。

自然の乳酸菌を生かした山廃仕込みは、重く野生味を感じられる酒になるのですが、時間と手間を要します。事実、朝日酒造のラインアップを見ても山廃仕込みの日本酒は全商品の数%にしか過ぎません。

それにも関わらずこの伝統的な製法を選択した朝日酒造からは、プロジェクトにかける本気度を感じましたし、改めてこの蔵元とコラボできて良かったと思いました」

「早速、両社による試作品のテイスティングが行われました。テーブルに並べられた日本酒は骨太で飲みごたえのあるものばかり。そんな折、私たちが注目したのは“ワイルドすぎる”という理由で本来なら候補から外してしまう1本…。

試飲したところ、これまでの力強さとは一線を画す、さらに野趣あふれる味わい。山廃の力強さを全面に押し出したものでした。

『これこそが焚火にふさわしい酒だ』と確信し、満場一致で決定。こうして、通常であれば朝日酒造では規格外とみなされていたであろう酒が、『アウトドアで楽しめる日本酒』として誕生したのです」

◇「久保田」の文字が浮かびあがる漆黒のデザイン。

光が黒い瓶に透過したときに、緑がかるのも特長。野の中で愛でるときに、自然と調和する色合いになる。

スタッフ 近藤:
「ボトルについてもこだわりがあります。久保田といえば和紙ラベルが30年以上変わらないアイデンティティとしてありました。

しかし、他社とのコラボに踏み切った朝日酒造にとって今回は初めての取り組み。スノーピークと手を組んだ意義やメッセージを表現するためにも既存の久保田の世界観を守りつつ、まったく新しい革新的な久保田としてのイメージの創出が狙いだと感じていました」

炎で浮かび上がる『久保田』の文字。

「『久保田 雪峰』は深い味わいとキレが際立つ一杯です。そのキレを視覚的に表現すべく行き着いた先が、漆黒のボトルデザインでした。ボディはマット、そして文字の部分に艶を持たせ、テクスチャを変えることで黒の中にも深みを持たせました。『黒×黒』の配色を化粧箱に至るまで一貫することで、久保田 雪峰の圧倒的なキレを表現したのです。

ただし、これまでの“久保田らしさ”から少し逸脱したものであったため、実際はほかのデザイン案もいくつか準備しました。ですがそんな考えは杞憂に終わりました。朝日酒造の細田社長自ら『黒×黒』のデザインを即決。歴史に縛られるのではなく、常にチャレンジする姿勢に、改めて感銘を受けたことを覚えています」

◇「五感」で丸ごと味わう野生の酒。炙ったアテと熱燗で。

「久保田 雪峰のおすすめは燗(かん)です。私も焚火の熱にも耐えうるフィールドクッカーに瓶ごといれて燗を楽しんでいます。500mlというサイズ感もポイントで、フィールドクッカーにすっぽりとはまるサイズになっているのです。

焚火の熱を利用したアテがあると酒もさらに進みます。ワタ入りのイカの一夜干しもいいですし、エイヒレや、そら豆や長ネギを串に刺して炙り、塩をふって食べるのもまた最高です」

「火ばさみで薪を動かしながら、物思いにふける。パチパチと音を立て、時折パンッと火の粉がはぜる。風の流れに合わせて煙が揺れる。樹木という命が燃えて、光と熱を生み出す焚火。その焚火の熱で熱燗を作り、炙ったアテとともに杯を傾ける。久保田 雪峰はまさに、五感で味わう酒なのです。

漆黒の闇の中、炎で浮かび上がる『久保田』の文字もまた魅力的です。場所やシーン、飲み方を問わず、あらゆる料理とマッチする一杯ではありますが、焚火を囲んで味わうことで野生の酒・久保田 雪峰はよりおいしくなります。皆さんも是非、お試しください」

Epilogue

いかがでしたでしょうか。山廃仕込みがもたらす絶妙に調和した懐の深い味わいが特長で、個性的で野趣あふれるアウトドア料理にもバランスよくマッチする「久保田 雪峰」は、冷やすとシャープで軽快な旨みや酸味が、温めると潜在的に持つ甘みや酸味のまろやかさが際立ちます。

漆黒の瓶とトーンをあわせた「黒×黒」の化粧箱に入っており、ギフトとしても大変人気です。感謝の気持ちを伝えたいあの人に、焚火のお供に、是非「久保田 雪峰」をお楽しみください。

また、手ぶらで焚火を楽しめる「Snow Peak TAKIBI LOUNGE」が2021年7月1日(木)にオープンしました。都心から1時間以内の場所で「焚火」と「久保田 雪峰」が体験できる施設です。焚火は、はじめて!という方もご安心ください。経験豊富なスタッフが、みなさまをアウトドアの世界にご案内いたします。