【永久保証】 from STAFF修理の先にある絆 vol.9

Prologue

アフターサービスルームには、今日も日本各地から修理が必要な道具たちが届きます。ユーザーの大切な道具の修理を通して、キャンプというライフスタイルを支えるスタッフのストーリーをご紹介します。

今回登場するのは、テントやアパレルなど、縫製を必要とする製品の修理を担当する高橋。
 
作業スペースの一角にある収納ケースには、ボタンやファスナー紐といった細かいパーツや、さまざまな布類のストックが整然と並んでいます。これは、修理しやすい環境づくりを追求するべく高橋を中心に整頓したもの。スタッフ全員の仕事の効率とモチベーションがアップする、理想的な環境を整えてくれました。

◇ユーザーの希望を叶えたい。

股の部分が避けてしまったツイードのパンツ。

─これまでと現在の仕事について教えてください。
 
高橋:
「雑誌かテレビで岡山のデニム職人の仕事を見て『自分もやりたい!』と思い立ち、倉敷市にあるデニム会社に就職、縫製を学んだのがキャリアの始まりです。その後、新潟のクリーニング会社で生地の知識やシミ抜きの技術を身につけ、2021年にスノーピークに入社しました。

ゼロから製品を作り上げる仕事も、目立たないように修復する仕事も、それぞれに魅力がありますね。どちらかというと自分は修復のほうが向いているかも。直し方に正解がないおもしろさや、ユーザーさんに喜んでいただけること。そんなやりがいを感じるからでしょうか」

使用している糸の色を、見本帳から判別する。

─修理はどのように進めるのですか?

高橋:
「修理品が届くと、まずは一通りチェックします。依頼箇所だけでなく、ユーザーさん自身が把握されていない傷や破れがないかも含めて確認し、見積もり時にフィードバックします。

また、今まで撮りためた写真の中から『これに近い形になります』と、修理後のイメージ画像を送ることもあります。ユーザーさんがご希望される修理となるべくギャップが出ないように、診断・修理担当スタッフみんなで話し合い、チームで修理方針を決めて取りかかります」
 
 
─印象に残っているエピソードを教えてください。

高橋:
「以前、真っ二つに大きく裂けてしまったテントを直してほしいというご依頼がありました。それはスノーピーク創業60周年モデルの限定品で、ユーザーさんにとっても思い出深い品だったんです。

ほとんどの幕体の修理作業は1日あれば終わるのですが、この時は3日がかりになりました。無事に復元し、ユーザーさんの元へお返しすることができた時は達成感もあり、うれしかったです」

◇「永久保証」のプライドにかけて。

─アフターサービス課の強みはどんなところだと感じますか?

高橋:
「『永久保証』のプライドを持って修理していることが、よそにはない唯一無二の特徴ですね。メンバー全員、優れたスキルと向上心を持ち、新しい修理方法も積極的に採用することで、技術レベルもどんどん上がっていると思います。

私個人の強みは、修理方法の提案力ですかね。休日もホームセンターで接着剤コーナーをチェックして、修理に使える新たな材料はないかと、いつもつい気にしてしまいます(笑)。デニムやクリーニングの業界で積んできたさまざまな経験も、現在の業務に大いに活かせていますね」
 
 
─自身がキャンパーであることは、仕事にどう役立っていますか?
 
高橋:
「テントやアパレルは、自分も使い勝手をよくわかっているので『ここは負荷がかかる部分だから強めに補強しておこう』などと、考えながら修理します。

また、キャンプイベントでユーザーさんとお話しする時は、キャンパーの視点で使い方のコツを具体的にお伝えしています。例えば『テント内で虫よけを使わない方がいいですよ』など。虫よけの成分で、テントの防水加工が溶け、雨漏りする恐れがあるんです。あとは撤収前によく乾燥させることですね。それだけで長持ちします。

入社前はユーザーだった私が、スタッフになり、ユーザーさんと関われるようになりました。的確なアドバイスをお伝えすることで、頼りにしていただけたらうれしいですね」

破れた箇所に補強を付けて縫い直す。

─今後の展望や目標を教えてください。

高橋:
「日々、新しい修理方法の開拓にチャレンジしていますが、修理が難しい状態のものもあり、いかに修理可能にできるかがこれからの課題です。修理困難と伝えるのは悔しいし、何よりユーザーさんに申し訳なくて。

特に生地の劣化は元の状態に戻すことは難しいので、劣化を少しでも遅らせるための正しい使い方や、メンテナンスの必要性も伝えていきたいです。せっかく購入していただいた大切な道具や衣類を長く使っていただくため、少しでもお力になれたらと思います」

Epilogue

今回の「修理の先にある絆」、いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。

新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。