【キャンプ場開発】From PARTNERキャンプフィールドが循環を生む、阿武町のまちづくり。(前編)

2021年秋、山口県阿武町にスノーピーク地方創生コンサルティングが監修を行うキャンプ場がオープンします。

阿武町長をはじめ、開業に向けて奮闘する町の方々や担当者の想いを全4回連載でお届けします。

第2回となる今回は、まちづくりプロジェクト全体を牽引する花田町長にお話を伺いました。

■お話をうかがった方
阿武町長 花田憲彦さん
1955年生まれ。阿武町出身。阿武町役場で企画課長、総務課長などを歴任し、2017年4月より現職。
趣味は読書、スポーツ観戦、バイクのツーリング。剣道5段の腕前。


小さくても、躍動感があるまち。

山口県の北部、日本海に面した阿武町は人口約3,200人(2020年10月現在)の小さなまちです。
 
過疎化、少子高齢化が進み、人口減少という大きな課題を抱えるなかで「選ばれるまち」になるべく、数年前から移住者の定住促進や、資源やお金が地域内で循環する、持続可能な暮らしづくりに取り組んでいます。
 
今回のキャンプフィールドの計画のみならず、空き家バンクを全国的にもいち早くスタートするなど、定住促進・雇用創出のための取り組みに果敢に挑戦してきました。

そんな花田町長が大切にしているのは「打てば響く!」姿勢です。

「町民が挙げた声に対して、直接ハートに響いたら、即行動・即実行です。『お金がないからできません』とは言ったことがない。この町の財政は決して豊かではないけど、貧しくはないんですよ。

少ない収入の中で上手くやりくりして、チャレンジ的な事業に取り組みやすい財政をつくっています。」

さまざまな取り組みを経て、2000年からの10年間で300人超が転出していた阿武町の人口の社会増減は、直近10年間では転入が転出を上回り、プラスに転じる結果に。
 
「小っちゃいけど、なんか躍動感がある」。移住者の多くが、このまちのことをそんなふうに語ります。

このまちに、キャンプフィールドが必要な理由。

前回のスタッフコラムで紹介したとおり、この町にコンビニはありません。けれど、美しい海と里山の景色、そして日本で一番最初につくられた道の駅があります。

港から届く鮮魚や新鮮野菜、希少品種の無角和牛といった特産品が多数そろう、まちの魅力をギュッと詰め込んだ道の駅は、町内外から多くの人が訪れる、この町いちばんの観光スポット。この道の駅のすぐ隣、海沿いの空き地がキャンプフィールドの建設予定地です。

「一般的なキャンプフィールドって、きっと山や森、湖畔とかって自然豊かなところが理想ですよね。自然豊かな場所なら、阿武町にもたくさんありますよ。

でも、私たちはいま『循環型のまち』をつくろうと掲げている。まちの産業につながる、地域の活性化につながるキャンプフィールドをつくりたいんです。
 
道の駅に行けば、食材には困らないうえに、温泉もあります。自然のなかでのキャンプもいいけれど、一つの提案として、家族が安心して手軽にキャンプできる場所もありじゃないかと考えました。
 
道の駅を利用してもらえれば、生産者も潤って、まちの経済が回っていく。そのことを期待しています。」

「そして、目の前に広がる漁師や農家の日常をアクティビティとして体験できることも、一つの魅力になるんじゃないかなと。

その仕組みづくりができれば、まち全体への波及効果が期待できる。だから僕らのキャンプフィールドは、山の中ではなくて、道の駅のとなりでなければいけないんです。」

訪れた人がキャンプを通じて、阿武町の食や人々の暮らしと出会う。そこで生まれたつながりが、めぐり巡って、阿武町の未来をつくっていく。
 
町長を中心とするプロジェクトメンバーが描いているのは、そんな循環を生み出す基盤となるキャンプフィールドなのです。

Photo:川嶋克(川嶋克編集室)