【永久保証】 from STAFF修理の先にある絆 vol. 3

Prologue

アフターサービスルームには、今日も日本各地から修理が必要な道具たちが届きます。ユーザーの大切な道具の修理を通して、キャンプというライフスタイルを支えるスタッフのストーリーをご紹介します。

今回は、スタッフ・桑原のストーリー。前職はニット・ブランドで製品企画を行っていた桑原は「手を動かしたい」という思いで、2020年3月にアフターサービスの縫製チームに加わりました。モノづくりに関わるスタンスは同じながら、扱うものの素材や作りだけでなく、大きさの違いに最初は戸惑ったそうです。

「傷は野遊びの思い出」という桑原は、ユーザーのみなさんの思い出の詰まった宝物を大切にお預かりして、きれいにしてお返しできるよう、修理品と向き合っています。

修理が必要になった経緯や気持ちごと受け止めたい。

―普段の担当業務について教えてください。
桑原 ユーザーさんから寄せられるテントやタープ、マット、シュラフなど生地を使用した製品の損傷具合の診断、見積り、修理を一貫して担当しています。修理自体はもちろん、破損の診断が難しいです。同じ10センチの裂けでも、素材の種類や状態、破損の位置などによって修理の方法が異なり、一つとして同じ修理がないからです。

また、中にはどうしても直せないものもあり、見極めるには知識に加え、経験値が必要です。難しいケースでは、ベテランの先輩に相談し、知恵を借りながら、最適な方法で直しています。

―アフターサービスの仕事で大事にしていることはありますか?
桑原 ユーザーさんの気持ちに寄り添うことです。スノーピークの製品をフィールドに連れて行ったから、また、久しぶりに使おうと思ったから、修理が必要になった。その経緯や気持ちごと受け止めたいと思います。

届いたテントを拡げた時、たたむときに紛れ込んだ葉っぱが出てきたり、天井にお子さんの絵が描いてあったりすると、野遊びのシーンが思い浮かんで、ほっこりします。また、古いテントなのにとてもきれいな状態だと、大事にしてくださったんだなとジーンとしますね。

ユーザーさんとお話しするときには、これからも長く使っていただけるよう、日陰で風通しをする、保管するときは湿気を防ぐなどのアドバイスもお伝えするように心がけています。

「ちゃんと見てくれてありがとう」という言葉。

―アフターサービスの仕事で印象に残っているエピソードを教えてください。
桑原 入社して間もない頃、大きく裂けたタープを担当しました。幕の場合、一度開けた針孔は元に戻らないので、修理はやり直しがきかない一発勝負。その上、幕は使っているうちに引っ張られて生地の目にゆがみが出ることもあって気が抜けず、緊張感はマックス。うまく修理し終えた時の達成感は、忘れられません。

もう一つは、修理できなかったエピソードです。電話でのお問い合わせに「修理は難しい」とお伝えしても、「どうしても」と現物を送ってこられるケースが何回かありました。加水分解が起きて裏がべたべたになったテントや、長年の紫外線の蓄積で生地が劣化し、パリパリの状態でミシンが入れられないタープなど。

心苦しさを感じながらも修理ができないことをお伝えしたときの「ちゃんと見てくれてありがとう」という言葉はうれしかったです。ユーザーさんと思いが通じ合ったように感じ、これからも頑張ろうという気持ちになりました。

―今後の展望や目標などを教えてください。
桑原 一番は、修理の技術を上げることです。製品の知識を増やし、どんどん手を動かして実践力をつけることを心がけています。そして、今以上にユーザーさんの立場に立った対応をしていくことです。

以前リュックの不具合に対応したユーザーさんから、しばらくして、私あてにお電話が。修理ではなく、ユーザーサービスに電話がつながらず、「リュックの時に親切に対応してくれた桑原さんが頼りで」とのこと。名前を覚えてくださっていたことに驚き、また光栄に思いました。こうした心の通い合いを増やしていきたいと思っています。

Epilogue

今回の「修理の先にある絆」、いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。

新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。