【コラム】from STAFF愛着図鑑 vol.1
インストア部Takanori Uetake/植竹 位悟
【愛用歴 15年】
ペグハンマー Pro.C
このペグハンマーを購入したのは、スノーピークに入社する以前、まだユーザーだった20代の頃です。キャンプに目覚めて、はじめは手ごろな価格で販売されていた他社のゴム製ハンマーを使用していました。
土が硬かったり、砂利が多かったりするキャンプ場では全然ペグが入らなくて、「もっとちゃんと打てるハンマーが欲しい!」と調べて、出会ったのがスノーピークのペグハンマーです。
今はなき、とあるアウトドアショップで売り場に並んでいる他社製品と比べて「ハンマーにしては高いなあ…」と感じたことをよく覚えています。
当時の自分にとってスノーピークはなかなか手の出ない存在。カタログを開くと、ピカピカの新品ではなくて、使い込まれた様子のハンマーやソリッドステーク、焚火台などが誌面に載っていて長く使えるストーリーが描かれていました。
もともとジーンズや革製品のように、使い込むことで経年美化していくものが好きな自分には、そんなスノーピークの製品づくりがとても魅力的で、いつかは買うぞ、と思っていたのです。そして、値は張るけど性能もいい上に長く使えるというところで納得して、このペグハンマーを購入するに至りました。
キャンプで使い込むこと10数年。当時一緒にキャンプに出掛けていた彼女はその後、妻となり、子どもが生まれて、僕のアウトドアライフも大きく変化しましたが、いつもこのペグハンマーが寄り添い続けてくれました。
実はこのハンマー、一度もヘッド交換をしていません。自分の中で満足のいく“仕上がり”になったので、あるときから、もうこれ以上は自分では使えなくなってしまったのです(笑)。たとえるなら、いい感じに擦れて色が落ちて、もう履かないんだけど、捨てられないジーパンのようなものです(といって伝わるでしょうか…)。
今は世代交代を迎えて、子どもたちのものになっています。何でも自分でやりたい年ごろの子どもたちは、キャンプに行けば、このハンマーで一緒にペグダウンをしてくれます。
世の中に数多あるキャンプ道具の中でも、こんなふうに次の世代に引き渡せるものって、いったいどれだけあるだろう? そう考えたら15年前に「高いなぁ」と思って買ったハンマーは、自分にとっては今やその値段以上の価値のあるものになりました。
これから先は、わが子のもとでどんなふうに育っていくのか、親として見守っていくつもりです。気が付くとクーラーボックスの中とか、とんでもないところに入っていて、うっかり無くさないかヒヤヒヤしているのですが(笑)。
Epilogue
今回の「愛着図鑑」、いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。
新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。