肌寒さを感じる季節のあわいに、山梨県北部の、山々を近くに望む土地を訪れた。
東京と山梨の二拠点で暮らす音楽家のermhoiさんとMarty Holoubekさんは、ここ山梨を音楽制作と日々の生活がつながる、もう一つの拠点としている。自然の中へ無理なく溶け込める環境を求めて、二人はこの土地を選んだのだという。
二階建ての住まいに足を踏み入れると、バルコニーへと続く大きな窓からダイニングに柔らかな光が差し込んでいた。都市の日常とは異なる時間の流れのなかで、音をつくり、食卓を囲み、季節の変化に意識を向ける。温かい飲み物を片手に言葉を交わす時間もあれば、それぞれが音楽制作へ集中する時間も大事にしている。
ここには、都市では聴こえない、色々な音がある。針葉樹林と落葉広葉樹林がつくる豊かな植生の間を、清らかな風が吹きぬける音。玄関の落ち葉を竹箒で掃くときの音。松ぼっくりを高く上に投げて遊ぶときの音。
音を鳴らすことと、自然の音に耳を澄ませること。その両方が、この土地での音楽を形づくっている。何かを生み出す時間と、何もせずに周囲の音を聴く時間は、ここでは切り離されることなく、ひとつの暮らしの中に共存している。
自然の近くで過ごすことは、特別な場所へ出かけるということだけではない。光や空気、音の変化を感じながら、日々の時間を少しだけ丁寧に受け取ることなのかもしれない。





















































