原点回帰食OUTSIDE SHOJIN BRUNCH vol.2

精進料理はもともと仏教の戒律に基づくもので、すべての生命に対して想いを込め、「いただきます」と「ごちそうさま」という言葉の真意を実感しながら頂く料理のことです。

まず、「いただきます」とは、人間の命を支える数々の動植物に対しての感謝の気持ちを表した言葉。それらの命を大切にするために、自分の食べられる量を考え、決して食べ残すことはしません。食事中は私語をせず、器を手に取って食べます。これは一つひとつの命に向き合うということ。食べ物に向き合い丁寧に頂くと、より味わい深く感じられます。食後は洗鉢(せんぱつ)といって、お茶を茶碗に注いで、たくあんなどのお漬物で洗い最後に全部飲み干します。洗鉢後の食器は油ものとそうでないものに分け、油ものの食器だけ最小限の洗剤を付け洗います。

そして、食後に言う「ごちそうさま」という言葉ですが、これは日本語特有の言い回しで、「馳」「走」ともに「はしる」という意味です。昔は心を込めて客人をもてなすため、文字通り野山を走り回って料理の材料を調達してもてなしていたのですが、そんな相手を思いやる気持ちに対して心からの感謝の気持ちを表すために生まれた言葉です。

フードロスやファストフードが大きな問題となるこの時代。自然や周りの人に感謝しながら食べ物と向き合うことを、精進料理を通じて改めて体感してみてはいかがでしょうか。

花の精進ピザ

【材料】

●ピザ生地具材 (1枚分)
強力粉 180g
打ち粉 180g
ドライイースト 3g
塩 3g
水 100ml

●トッピング素材
香菜ソース
ミニトマト(半分に切ったもの適量)
春菊(ざく切り適量)

【作り方】

①全ての材料をボールに入れ手で10分以上捏ねる。丸めてバットに並べ、ラップをして室温で約2時間、2倍に膨らむまで発酵させる。
※ピザ生地は、目的地までクーラーボックスに入れて、焼く直前まで低温発酵させてもよし。

②香菜ソースを作る。菜1/2房・玉葱1/4個を微塵切りにし、塩少々、蜂蜜大さじ1とレモン1個分の絞り汁と皮の微塵切りを加え、混ぜ合わせる。

③生地に打ち粉にまぶし少しずつ手で25cmまで広げる。広げた生地に、ソースや具材をトッピングする。

④オリーブ油を回しかけて台に載せ、オーブンに入れる。ピザ生地がキツネ色になったら完成。

菜の花と金柑のサラダ

【材料】

菜の花 1/2束
ブロッコリー 1/2房
カリフラワー 1/2房
金柑3個(輪切り)
豆腐ドレッシング

【作り方】

①豆腐ドレッシングを作る。豆腐1/4丁、味噌小匙1/2と米酢10mlをすり鉢で擦り、昆布だし50mlとオリーブ油25mlを混ぜ合わせる。

②菜の花とブロッコリーとカリフラワーをさっと茹で、食べやすい大きさに切り金柑と一緒に盛り付ける。豆腐ドレッシングをかけ完成。
※食後、ドレッシングが残ったサラダボウルにお湯を注ぐと、スープとしても楽しめる。

山菜のピクルス

【材料】

ラディッシュ 5個(輪切り)
胡瓜 1/2本(輪切り)
人参 1/2本(輪切り)
玉葱 1/2個(くし切り)
山葵菜 1/2房(ざく切り)
土筆 5本(5cmに切る)
蕗3本 (5cmに切る)
蕗3本 (5cmに切る)
生姜 1/2片(薄切り)
ピクルス液

【作り方】

①ピクルス液を作る。ワインビネガー125mlに砂糖50g、ローリエの葉1枚、マスタードシード小さじ1/2、オールスパイス3粒を弱火で混ぜ合わせ、馴染んだら火を止める。

②全ての材料を熱いピクルス液に漬け込み1時間程で完成。
※食後にピザ皿やサラダボウルを拭き取るのに用いると、少ない洗剤で洗い物が可能に。

 
 
photography : Ko Tsuchiya
Edit : Kei Sato

 
 
 
 
  
 
寺田豪淳
テラダ・ゴウジュン/平成30年に開山1300年を迎えた大分県国東市の両子寺(ふたごじ)は、大自然の恵みと神仏習合の信仰が色濃く残る山寺。同寺の若住職である寺田さんは、「里山」や「地域活性」、「食」などをテーマにした「両子の森プロジェクト」を立ち上げ、古くから続くお寺ならではの新しい活動を展開中。

吉田拓也
ヨシダ・タクヤ/博多出身、シェフと猟師、キッチンカー「旅する台所トラモント」号で国東半島へ渡り、一昨年より「国東ユースホステル」6代目マネージャーとして活躍中。