【再エネ】 from PARTNER風や陽や水がつくる電力を vol.3

Prologue

野遊びは、地球という惑星が育んできた自然がなければ楽しめません。だからこそスノーピークはキャンパーとして、自らの製品やサービスにおいて地球を守るための行動をしています。

みんな電力と連携して、主要な拠点やキャンプフィールドの電力をCO2排出量ゼロの「自然エネルギー」へと切り替えたのは2021年のこと。

本シリーズではその自然エネルギーにまつわるお話を全3回でお送りします。

最終回の今回は、Snow Peak HEADQUARTERS(以下HQ)のスタッフ川崎が、自然エネルギーによる発電について知るため、HQの電力の供給元である三条保内発電所を訪ねました。

のどかな田園風景の中に建つ発電所。HQから車で15分ほどの距離。

◇電気が生まれる場所。

自然エネルギーによる電力は、どのようにして発電されているのでしょうか。

HQに電力を供給している三条保内発電所で行われているのは、「木質バイオマス発電」という方法だそう。詳しく学んでいきたいと思います。

左から、所長の富所さん、HQスタッフの川崎、代表の滝澤さん、営業開発部課長の鈴木さん。

迎えてくださったのは、グリーン・サーマル(株)の代表 滝澤さん、同社営業開発部課長の鈴木さん、グリーンサーマル三条(株)所長の富所さんのお三方。

木質バイオマス発電は、地元の山で伐採した間伐材を天然乾燥させ、それを発電所内で破砕してチップにし、そのチップを燃やした熱で蒸気を発生させてタービンを回し、発電するのだそう。
  
木を燃やすとCO2が発生しますが、どうして環境負荷が少ないといえるのでしょうか。

グリーン・サーマルは全国各地でバイオマス発電を展開する、業界のパイオニア的存在。

滝澤さん:
「木を伐採し、燃やすことで発生したCO2は、伐採後に若い木が育てば、その過程で再び木に吸収されることになります。この発電方法では、森の新陳代謝を促すことで大気中のCO2濃度に影響を与えずに発電できるというわけなんです。
   
樹齢50~60年の木は、若い木と比べてCO2の吸収・酸素の排出速度が遅く、伐採することで森の中に日が入り、若い木の光合成や成長を促すことができます。そんな伐期を迎えた木を伐採して燃料に使っています。
 
また山主さんと相談しながら、新しい木を植える『再造林』も計画的に進めています」

2017年から操業を始めた、三条保内発電所。

なるほど。木質バイオマス発電には、森林の手入れや若い木を育てるという側面もあるということなんですね。

◇いざ、発電所の内部へ!

それでは、所長の富所さんに案内していただき、発電の流れを追っていきます!

1)資材を集める

1日の発電で、だいたい1列分の木材が消費されるという。

敷地内には、三条市下田周辺の山林をはじめ、各地から集められた電力のもととなる丸太が積まれています。

取材中、ちょうど地元の造園業者が庭木を運んできた。

富所さん:
「木は建築用の資材にも用いられますが、根っこなどの建築に使えない部分は、価値がないものとして山に置き去りにされることが多くありました。

そういう部分も、私たちは燃料として積極的に使っています。それから地元の保内園芸組合に入っている造園屋さんが剪定した庭木の枝も、燃料としてこちらで買い取っています」

2)破砕する

3~4mほどの高さまで積み上げられたチップ。

すぐそばの大きな建物の中にはチップの山が。先ほどの丸太を木材破砕機に入れてつくっているそう。よく見ると、葉っぱや松ぼっくりなども混ざっていました。

燃焼効率を上げるために破砕されたチップ。

富所さん:
「この発電所では、だいたい200トンのチップを24時間で消費します。木によって匂いは異なり、広葉樹がチップになったときには、香水のようなとてもいい香りが広がるんです」

3)燃やす

チップの山の隣では、何かの殻がコンベアで運ばれています。これは何でしょうか?
 
富所さん:
「これはPKS(Palm Kernel Shell)と呼ばれる、パーム椰子(アブラヤシ)の殻です。東南アジアではパーム椰子からパームオイルを搾油しますが、残った殻は捨てられていました。殻にはとても燃えやすい性質があるので、炉内の燃焼効率を上げるための促進剤として使っています」

丸太を破砕する木材破砕機。

捨てられていたものに価値を見出し、活用しているというのは興味深いお話。資源を大切にする想いが感じられました。

4)蒸気で発電

右の建物内でチップを燃やして生まれた蒸気は、左の建物へと運ばれる。

チップが燃焼する火炉の中は見られませんが、こちら(右)の建物でチップを燃やして蒸気を発生させ、配管を通して向かい側にある建物へと蒸気を運んでいるそうです。

運転員は12時間交代で働き、24時間発電所を稼働させている。

富所さん:
「こちらの建物には蒸気タービンと発電機があり、ここで蒸気から電気がつくられています。今モニターの前に座っている彼は、画面を見ながら異常がないかを確認しているところですね。

ここでつくられた6,600Vの電気は、敷地内の受変電設備で昇圧し、送電可能な66,000Vの電圧に高めてから送電線で運ばれていきます」

5)再利用する。

緑色のシートがかけられた小さな建物には、チップを燃やした後の灰が集められているそう。灰は、この後どうなるのでしょうか。

滝澤さん:
「セメントや道路の路盤材などの原料として、リサイクルしています。その他に肥料としても使われているんですよ」

蒸気から電気を生み出すタービン。

鈴木さん:
「ちなみに福島県会津地域の木質バイオマス発電所では、発電時の排熱を利用して錦鯉の畜養を行っています。冬の暖房にかかる灯油代は生産者の悩みの種。その解決のために排熱を利用した畜養施設を始めました。

他の地域でも、発電で生まれた熱のリサイクルに積極的に取り組もうとしています」

◇地球と野遊びの未来のために。

今回は、HQに届く電気をつくる方々と出会い、その工程を見学させていただいて、電気をより身近なものに感じるようになりました。

特に、地元の間伐材を燃料にしてつくった電気を地元で使うという『電力の地産地消』の考え方はとても魅力的。

建材に使えないという理由で山に捨てられていた木を活用したり、造園屋さんがこれまで有料で廃棄していた木を買い取ったり、灰や排熱もむだにせず活用していることにも共感を覚えました。

そうした取り組みは「地球上の全てのものに良い影響を与える」というスノーピークのミッションにも通ずるところがあり、うれしく思います。今回ここで学んだことは、同僚やHQを訪れるユーザーさんにもお伝えしていきたいです。

Epilogue

日々当たり前に使っている電気。誰がどこでどんなふうに作った電気なのか?そんなことに目を向けてみてはいかがでしょうか。
 
限られた資源の使い方や自然環境に一番いい選択とは何かをキャンパーとして考えるきっかけになるはずです。そしてそれが、地球の自然を守ること、よりよい未来を作るための1歩になるかもしれません。