【コラム】from STAFFキャンパーは建築家?

Prologue

日常に、自然を感じる瞬間がどれだけあるか。スノーピークが考える豊かな暮らしとは、そんな瞬間をたくさんつくることです。かつては当たり前だった自然と共生するくらしを、もう一度日常に取り戻す。それは地方だけでなく都市においても、少し意識を変えるだけで実現できること。私たちは、そのための活動を日々続けています。

今回、話を聞いたのは開発部門を統括する吉野です。身近な自然を感じ、自分にとって心地よい空間を生み出す。キャンプをしていると、自然とその能力が備わっていくと吉野は言います。だから「キャンパーは建築家」。専門的な難しいことではなく、キャンプを楽しむ人々が当然のようにやっているという、その思考について聞きました。

「心地良い場所」を本能的に探している。

僕たちキャンパーは、当たり前のようにキャンプ道具を持って、春夏秋冬それぞれの季節のベストな場所へ車で出掛けます。海や川、山や森…と、自分たちが好きな所へ行き、好きな景色を眺められる場所にテントを張って、寝室やキッチン、ダイニングやリビングとなるスペースをつくっていきます。

その当たり前のようにやっていることって、実は住環境をつくることと同じで、たった1泊2日でも、まるで建築家のように、快適に過ごすために考えながらつくっています。それを繰り返すことでキャンパーには、心地良いと感じる場所を探し出す能力が自然と備わっていきます。

人間が本来持っていた「場所を読む力」。

うちは奥さんもキャンプ好きで、特に夜空の写真を撮るのが好き。なので、秋や冬は星がきれいに見える場所を調べて行き先を決めることが多いです。キャンプサイトに着いてからも、どんな構図で星空が撮れるかを考えながらテントを張ります。

一方、僕は白樺が好きなので、ある程度標高が高いところを目指して出掛けることもあります。長野県のキャンプ場が多いのですが、白樺と芝の緑と水場のコントラストがきれいに見えるところが魅力的で、そんな時もテントの張り方をよく考えます。

例えば、朝にテントのファスナーを開けた瞬間に湖が見えたらいいな…とか、リビングは日当たりがいい南側にしようとか、風はどっちから吹いているか?、車はどこに配置しようかな?など。30分くらいでテントを設営しますが、その間にいろいろなことを考えています。

こういった場所を読み取って居心地の良い場を作り出す力というのは、人間がはるか昔から本能的に持っているものなのだと思います。

自然はいつも暮らしのそばにある。

キャンプではテントなどの道具を一式持って、泊まりがけで出掛けることになりますが、「それはちょっとハードルが高い」と感じる人も多いと思います。

でも自然を楽しむ方法は、必ずしもキャンプだけではありません。都市にも公園がありますし、川も流れています。そこには魚がいて、それを食べようとする鳥がいて、生態系がつくられていますし、街路樹のイチョウが紅葉していたり、花壇にきれいな花が咲いていたりします。

それに、チェアやテーブルなどのアウトドア道具はバルコニーなどでも使えますし、そうすることで日常的にキャンプ気分を味わうことができます。僕自身も、マンションのバルコニーでキャンプ用のチェアに座ってコーヒーを飲みながら犬と過ごすのが、キャンプに出掛けられない日のちょっとした楽しみになっています。

自然とは常に身近にあるもの。現代では忘れがちになっている、この感覚を思い起こさせることも、スノーピークの役割だと感じています。

Epilogue

いかがでしたでしょうか?自然と都市、どちらにも緑はあり、風は吹き、空は広がっています。庭やベランダ、公園や並木道でも、急ぎがちな都市生活を、自然のリズムを感じて生きる。それが、スノーピークの考える「アーバンアウトドア」です。

都会で暮らしている方や、周りには自然がないと思っている方も、ぜひ身近な自然を探してみてくださいね。きっと今まで以上に豊かな日常に出会えるはずですよ。