【キャンプ場開発】From PARTNER通過型観光から滞在型観光へ。キャンプフィールドに寄せる都城市の期待。

2024年4月27日、宮崎県都城市関之尾公園にスノーピーク地方創生コンサルティングが監修を行い、スノーピークが運営を行うキャンプ場『スノーピーク都城キャンプフィールド』がオープンします。
新しいキャンプ場に都城市はどんな期待を寄せているのか?池田市長にお話を伺いました。

■お話を伺った方
都城市長 池田宜永(いけだたかひさ)さん
1971年生まれ。都城市出身。大蔵省、外務省、財務省等の官僚を経て、2012年に都城市長に就任。現在3期目。趣味は、テニス、ゴルフ、書道。座右の銘は、「努力に勝る天才なし」「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。

◇市の重要な観光資源を生かせる場に刷新する。

――まずはじめに、今回の関之尾公園をリニューアルしキャンプ場をつくることになった背景について教えて頂けますか?

池田市長:
「滝があり甌穴群がある関之尾公園は、都城市有数の観光地であり、市民にとって大事な場所です。しかしながら、この場所が十分に生かされていないことを課題に感じていました。
関之尾公園の自然を生かしながら、多くの人に来て頂ける場所にしたいという想いで検討を始め、スノーピークさんとのご縁もいただき、今回の公園リニューアルに至りました」

――関之尾公園が十分に生かされていなかったということですが、具体的にはどんな課題がありましたか?

池田市長:
「滝を見に来る方は一定数いらっしゃったのですが、そこに滞在をしていくのではなく通過していってしまう。いわゆる『通過型観光』になっていたんです。元々関之尾公園にはキャビン・バンガローなどの宿泊施設がありましたが、老朽化が進んでいてそれらの施設も十分に活用がされていませんでした。そもそも都城市自体が通過型になっていて、旅行に訪れる方があまり滞在していかないんですね。
今回新しいキャンプ場ができることで、そこでの滞在を目的に訪れる方が増え、『滞在型観光』に変わっていくことを大いに期待しています」

――そのスノーピーク都城キャンプフィールドがもうすぐ開業します。関之尾公園がどんな場所に変わることを願っていますか?

池田市長:
「これまでは滝だけ見て次の目的地へ向かう方が多かったようですが、キャンプを楽しみながらここで滞在していただき、滝や甌穴群などを回遊していただけたらと思っています。キャンプ場の施設が一カ所にあるのではなく、関之尾公園内に点在しているのも特徴です。そのため、必然的に公園内のあちこちを回っていただけるかと思います。
滝を横から眺められる新しい展望スペースも整備しましたので、これまで以上に散策する楽しみが増えています」

◇肉や焼酎などの地元産品とのコラボにも期待。

――そもそも、関之尾公園リニューアル事業をスノーピークと一緒に実施しようとした理由はどんなことでしたか?

池田市長:
「スノーピークさんは全国各地で多くのキャンプ場を運営している実績、ノウハウがあり、アウトドア業界において全国的に知名度も高い。スノーピークさんとの話し合いの中で、関之尾公園の雄大な自然環境と調和した、魅せる観光地としてリニューアルする提案をいただいたこと、これまでの経験を生かし、収益性のある持続可能な管理運営が見込めたことが依頼を決めた理由です」

――キャンプ場開業にあたり最も重視したことはなんですか?

池田市長:
「市の重要な観光資源である関之尾公園を磨き上げ、公園全体のポテンシャルを高めることですね。そもそも、スノーピークさんに運営していただけること自体が他のキャンプ場との差別化になると思いますし、利用者目線に立った質の高いサービスを提供していただけることを期待しています」

――都城市は肉と焼酎が有名ですが、キャンプ場とそのような地元産業との連携もテーマになっていますね。

池田市長:
「はい、私が市長に就任してから『肉と焼酎のふるさと』を一つのコンセプトにしていて、ふるさと納税など色々な取り組みを行っています。キャンプ場では、肉や焼酎をはじめ地元の食材を体験できる計画をされているということで大変ありがたく思っています。
キャンプと地元の食材は相性がいいとお聞きしていますので、市外や県外から来ていただく方には、ぜひ都城の食材をキャンプで味わって頂きたいですね。それから、都城はお茶の産地でもあります。新しくできるカフェではお茶も楽しんでいただけたらと思います」

――都城の自然に包まれながら、地元の肉と焼酎を味わうキャンプ。この土地ならではの楽しみになりますね。キャンプ場の開業準備において印象的だったことはありますか?

池田市長:
「スノーピークのみなさんが、食材の生産者をはじめ地元の関係者とコラボしたり、つながりを大事にしているのが非常にありがたいと感じました。
それから、スノーピークのスタッフの方々がユーザーとのつながりもとても大切にされていて、スタッフに会えることを楽しみにお店やキャンプ場を訪れるユーザーもいらっしゃるという話を聞き、人の温かさを感じました」

◇桜の名所に、新しい道の駅、美しい図書館も都城市の魅力。

――市長ご自身はキャンプのどんなところに魅力を感じていますか?

池田市長:
「実は私はあまりキャンプを積極的にしたことがない人間なんですけど、やはり自然の中に身を置いてリラックスできるのがアウトドアの良さだと思います。キャンパーの人たちからは、自然からエネルギーをもらうことや、焚火をじっと見て自分の世界を楽しむことが魅力だと聞いています。
今回、私のようなキャンパーではない人間でも気軽に滞在できるコテージやモバイルハウスもつくっていただきました。テント泊が苦手という人でも自然の中で非日常を楽しめるのがいいですね」

――キャンプは少しハードルが高いかも…という人も滞在できるキャンプ場。多くの人に宿泊してほしいですね。キャンプ場周辺エリアの魅力についてお聞かせください。

池田市長:
「関之尾公園内には、日本の滝百選に選ばれた関之尾滝があり、国の天然記念物に指定されている関之尾甌穴群があります。近い場所には日本さくら名所百選に選ばれている母智丘(もちお)公園があり、満開の時期は、そこに至る約2kmの桜並木にも圧倒されますよ。
キャンプ場からは離れますが、市の中心部には商業施設をリノベーションした市立図書館がある中核施設『Mallmall(まるまる)』、国道10号線沿いには昨年リニューアルした『道の駅 都城NiQLL(ニクル)』など魅力的な場所があります。
余談ですが、図書館もDO(Design & Oparate)方式を採用しており、ニクルも建物のデザインを考える段階から、運営を行うスペシャリストの方に入っていただきました。それによって、人が集まるいい場所をつくることができたと思います。今回のキャンプ場も同様で、どのようなキャンプ場をつくるか?という段階からスノーピークさんに入っていただいています。それぞれの分野で、役所だけでは分からないノウハウが多々ありますから、このDO方式はすごくいいやり方だと思っています。
ところで、ニクルには肉や野菜などの地元産の食材が豊富にそろっていますので、そこで食材を買ってキャンプ場に向かうのも良いかと思います。今工事中の地域高規格道路『都城志布志道路』が開通すると、ニクルからキャンプ場への移動がよりスムーズになりますよ」

――道の駅とキャンプ場。そこでの相乗効果も生まれそうですね。では最後にスノーピーク都城キャンプフィールドの施設の見どころについてお聞かせ頂けますか?

池田市長:
「見どころは全部と言っても過言ではありません。管理棟では地場産品を取り扱う他、宮崎県内初のスノーピーク直営店が入りますし、甌穴群を眺めながら地元の肉や焼酎を楽しめるレストランも併設します。広縁やデッキテラスでリラックスして過ごすのもいいですね。
宿泊棟は2階建てのコテージが4棟あり、その内の一つはエレベーター付きのバリアフリー対応。2階からの眺めは最高です。それから、建築家の隈研吾さんとスノーピークさんで共同開発されたモバイルハウス『住箱』が5台設置されていて、ここでも川の景色を眺めながら快適に過ごせます。Wi-Fi環境が整備されているので、ワーケーションにもおすすめですね。私も使ってみたいです(笑)。
庄内川左岸につくられるテントサイトは合計100サイトあり、車椅子の方や家族で利用可能な家族シャワー室を備えているのも特徴です。
それから、以前『滝の駅せきのお』があった場所につくられたカフェでは、デッキで田園風景を眺めながらくつろげますし、飲食メニューをテイクアウトして公園内を散策するのもいいでしょう。
キャンプ場の開業を機に関係人口が増えることを期待していますし、キャンプを通して一人でも多くの人に都城市の魅力を感じていただきたいですね」

滞在型の旅行者を増やすことを目的とし、肉や焼酎をはじめとした地元産業との連携も考えられたスノーピーク都城キャンプフィールドには、市の活性化のために様々な施策を進める池田市長の強い想いと期待が込められていました。
数年の時間をかけて練り上げた、宮崎県初のスノーピーク直営キャンプフィールド。いよいよ4月27日にオープンします!どうぞお楽しみに。