【永久保証】 from STAFF修理の先にある絆 vol.7

Prologue

アフターサービスルームには、今日も日本各地から修理が必要な道具たちが届きます。ユーザーの大切な道具の修理を通して、キャンプというライフスタイルを支えるスタッフのストーリーをご紹介します。

今回話を聞いたのは、アフターサービス課で縫製修理を担当する西條です。ユーザーの要望を聞き取り修理の診断をするだけでなく、テントやシェルターのフレーム修理などもこなすなど、マルチに力を発揮しています。

◇ものづくりに惹かれて。

店舗に勤務していたときも、簡単な修理は店頭で対応していた。

―この仕事に就いたきっかけは?
 
西條:
「大学では工学部で学んでいたので、新潟県の三条エリアが、ものづくりが盛んだということは知っていました。てっきり海外メーカーだと思い込んでいたスノーピークが、実は三条市の会社だと知ってテンションが上がり、それが入社のきっかけになりました。

キャンプフィールドのあるHEADQUARTERSに勤務し、フィールドの業務やレンタル用ギアのメンテナンス業務などを経て、2023年春からアフターサービス課に異動しました。もともと、ものづくりが好きなので、修理は『自分によりフィットする仕事』と思えて、うれしかったです」
 
 
―普段の担当業務について教えてください。

西條:
「現在は、テントなどの修理に対して、どのような修理ができるか、また状態によってはお客様と相談しながら修理方法を決めるなど、縫製修理に関する診断作業を主に担当しています。

同じ破損状態でも、破損の原因や修理の方法、ユーザーの希望などによって、修理の規模や工程が変わってくるので、まずはユーザーの考えを丁寧に伺って、より良い方法を提案します」

風の影響で大きく裂けてしまったタープ。

─修理できない場合もありますか?

西條:
「修理できない場合もどうしてもあります。でも、それを伝えて終わりではありません。状況を説明した上で、買い替えたいという方には新しい商品を提案し、一方、どうしてもあきらめられないという方には、何ができるかを模索します。

対応の幅を広げるため、新たな修理方法の開拓も進めていますが、たとえ修理が難しくてもユーザーさんと向き合い続け、その思いに寄り添うことを心掛けています」

◇距離の近さが、スノーピークらしさ。

縫製スタッフと最善の修理方法を相談する。

─特に印象的だった修理のエピソードは?

西條:
「以前、かなり大きく破損したテントが持ちこまれた際、修理後の製品を見て『ここまできれいに直るのか!』と驚いたことがあります。縫製して使えるようにしたというレベルではなく、まるで元からこうだったのではないかというほど自然に修復されていたんです。

テントの縫製について私自身はまだ知らないことも多いのですが、先輩たちが築いてきたこうした高い縫製技術は、しっかりと引き継いでいきたいと思います」
 
 
─テントを長く使うコツはありますか?
 
西條:
「生地自体が劣化すると修理が難しくなります。劣化の主な原因は水分や紫外線、使用回数などでですが、遅らせることもできるんです。テントの内側のコーティングやシームテープは湿気に弱く、一度はがれると直せないので、雨に濡れたらしっかりと乾かすことが大事です。

また、テントは風速5mを超えると破損することもあるので、キャンプでは晴雨だけでなく、風速もぜひ気にしてほしいですね。手入れ次第では20年経っても現役のテントもあるんですよ。テントやシュラフなどは購入して数年経ってから差が出るので、ぜひ手入れをして長く使い続けていただきたいです」

修理の必要な個所に印をつける。些細な傷も見逃さない。

─ユーザーとのつながりを感じる瞬間は?

西條:
「スノーピークのユーザーとスタッフは、そもそも野遊び仲間。語り合ったり、一緒にキャンプをしたりすることも少なくありません。だから、アフターサービスに異動してからも、『壊れちゃたんだけど、直せるかな』と、ユーザーさんから直接ご連絡をいただくこともあります。頼られるのはうれしいですし、スノーピークらしいなと感じます」

─今後の展望や目標を教えてください。

西條:
「メーカーとしては、壊れないものを作ることが究極の目標。アフターサービスに蓄積したデータを開発部門にフィードバックし、また、店舗と協力して安全な使い方や適切なメンテナンス方法を周知し、全体で連携を取りながら、より良い製品を発信していきたいと思います」

Epilogue

今回の「修理の先にある絆」、いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。

新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。