【コラム】 from STAFF愛着図鑑 vol.19

【愛用歴12年】
ギガパワーストーブ地

僕の人生の真ん中にはフライフィッシングがあります。その出会いは、子ども時代に遡ります。両親が趣味でハンティングをしていたので、キジやカモを仕留めた時にはその羽根で毛針を作り、キャンプに行って魚を釣るのが日常でした。そんな体験から、自然とフライフィッシングにのめり込んでいきました。

フライフィッシングでは、川で魚を観察し、魚が虫を食べ始める時間を待つことがあります。十勝に来てからは、川岸でゆったりとコーヒーを飲んだりしながらその時間を過ごしています。そんな時にこの「地」が活躍します。
 
ただ、本州にいた頃はこういう使い方ではありませんでした。いいポイントへと向かうには身長より高い藪をかきわけ、厳しい斜面を下って行くこともしばしば。なんとか川へたどり着き、最初にすることが、この「地」を使ってお湯を沸かし、仲間と一緒にコーヒーを飲むことでした。
 
季節を感じながら、仲間と他愛のない話をしてお湯が沸くのを待つのですが、それは焚火を囲む時間に近いものがあって、心地の良いひとときです。だから、速く沸けばいいというわけじゃない。お湯が沸いていく時間も、コーヒーを飲みながら魚を待つ時間も、楽しみの一つ。だからこそ、「地」がピッタリなんです。

「地」の魅力は、シンプルなところ。五徳の形やデザイン、パーツの納まりも含めて、徹底的に考えて作られているから、部品も少なく壊れる要素がない。質実剛健。佇まいも美しいと感じます。

今住んでいる十勝は、世界的にもフライフィッシングの聖地。その中でも有名な音更川のポイントまで、自宅からは何と2分。休日はもちろん、平日の仕事終わりにも行きます。家からすぐなので、学校帰りの子どもと一緒に行くことも。

小3の息子も、「地」を当たり前に使っています。教えたことも強制したこともないのですが、僕が使っているのを見て「親父が何かやってる、楽しそうだな…」と、こっそり触ったりしていてできるようになったんだと思います。

それに「地」は構造的に頑丈だから、ゴムのパッキンなどを変えれば、僕より寿命が長いんじゃないかと思います。「これ、おじいちゃんも若い頃使っていたんだよ」なんて、将来、息子が孫と話していたらなんだか素敵ですよね。

道具には魂が宿る――「地」を見ていると、つくづくとそう思います。見た目は小さいですけど、魂が宿るだけの器の大きさがあるんです。これからも僕の人生のバディとして愛用していきます。

Epilogue

いかがでしたでしょうか。長く使ってきた道具とあなたが織りなす時間は、どんなに優れた新製品を買っても手に入ることはなくて、その時間を、人は「愛着」と呼ぶのだと思います。

新潟・福岡にあるアフターサービスルームには、今日も遠方から修理の必要な道具たちが届きます。壊れたら捨てるのではなく、大事になおしてまた使って欲しい。そんな想いを込めて今日も丁寧に修理にあたっています。

もしも、道具が壊れたらいつでも私たちスノーピークにお送りください。想いを込めて修理し、皆さまにお戻しいたします。

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