【コラム】 from STAFF野遊びは、命の恩人。

Prologue

社員である前に、キャンパーであれ。日本をはじめ、世界中のスノーピークのスタッフは、それぞれの「野遊び心」を開放して、自然の中でも、くらしの中でも、全力で野遊びを楽しんでいます。

「人間性の回復」を超えた「命の回復」とも言える経験を何度もしてきた―。

そう話すのは、2022年にスノーピークの副社長 執行役員に就任した坂本宣。

長きにわたり、金融機関の役員として多忙を極める中で自らが実感した、野遊びの持つ不思議な力について教えてくれました。

◇大自然の静寂の中で。

訪ねる度に異なる釧路の自然。その美しさに何度でも足が向く。

坂本:
「前職である金融機関の仕事はとにかく忙しくて、役員として200人以上の部下を抱え、毎朝7時前に出勤、昼食を食べる時間もなく、夜になれば週の半分は宴席というような生活でした。

ある時期、すごくストレスが溜まって、キャンプ道具を車に積んでフェリーで北海道に渡り、キャンプ場やホテルに泊まりながら旅をしました。

スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールドにも行きましたよ。キャンプサイトと住箱に泊まって、素晴らしい星空と出会えました。

また、その旅で一番印象に残っているのが、釧路湿原をカヌーで下る体験をした時のことです」

激務をこなしながら、休みのたびに自然を求めて出かけた。

「カヌーの後ろにガイドさんが乗り、私と妻が前に乗って、蛇行する川をゆったりと進んでいくのですが、水面に当たるオールの音と鳥の声以外、そこには音がないんですよ。

あるカーブを曲がるとキツネがいて、また次を曲がるとシカがいて、タンチョウヅルがいて。

そんな圧倒的な大自然に包まれた時、自分の体から怒りや不満が本当にサーッと抜けていくのを感じて、『俺はなんてちっぽけなことで怒ってたんだろう…』って。

これがいい経験となって、その後2年間で4回、同じ場所を訪ねました。季節や時間帯が変わると景色も変わり、朝日も夕日も違って見える。そしてその度に自分を取り戻すことができました。

大げさに聞こえるかもしれませんが、これは自分にとって人間性の回復というレベルではなく、いろんな意味で“命が救われた”と思う体験だったんです」

◇家族や仲間とのつながり。

キャンプを始めたばかりの頃。ホームセンターなどで道具を揃えた。

坂本:
「もともとは子どもが小さい頃、家族で行ったBBQの延長線上で始めたキャンプ。『うちもやってみるか』という気楽なノリでした。

しかしハマり出すとおもしろくて、毎週のように行く時もあったり、個人でキャンプ関連のホームページを作ったり。3番目の子どもは生後3カ月でテント泊デビューしました。それが2000年頃です。

当時、キャンパーが集まるネット上のコミュニティに参加していたんですが、そのオフ会で知り合ったのが、当時から社長を務めていた山井太でした。

すっかり意気投合して、それからよく一緒にキャンプやフライフィッシングに行くようになりましたね」

子どもたちが成人した今でも、年に数回は家族でキャンプに行く。

「『野宴会』という名の当時のキャンプ仲間たちとは、今でも家族ぐるみの付き合いが続いています。

うちの子どもたちは幼い頃からグループキャンプで他の家族とも交流してきたので、よその親に叱られたり、年下の子どもの面倒を見ることも当たり前のようにして育ちました。

第三者に対する礼儀や正しい言葉遣いを身につけられたのは、キャンプのおかげかもしれないですね。

それに、うちは今も自宅のリビングに自然と家族が集まるくらい、普段から仲がいいんですよ。これも幼少期のキャンプのおかげで、家族の輪が形成されたんだと思っています」

◇キャンプで人々を幸せに。

仕事用ノートの1ページ目にはスノーピークのミッションが書き留めてある。

坂本:
「昨年、30年以上勤めていた金融機関を辞めて、スノーピークに転職をしました。

役員が転職するなんて前職では前例のないことでしたけど、『最後に人を幸せにする企業で一生懸命働くのもいいんじゃない?』と妻も背中を押してくれました。

ユーザーとしてもずっと会社を見てきたので、長く知っている社員も多いですし、入社に際して特に違和感はありませんでしたね。

まず感じたのは、すごく真面目でひたむきな社員が多いなということ。ほぼすべてのマネージャーたちと1対1で話してみて、ユーザーのことをまっすぐに思っている会社だなと改めて感じています」

約20年前、キャンプイベント「Snow Peak Way」に参加した思い出の写真。

「30年以上東京のど真ん中で働いて、人間性の回復を必要としている人をたくさん目にしてきました。
 
そういう人たちにキャンプの力や、キャンプの魅力をどう伝えていくかということを、何かしら取り組んでいきたいです。
 
また、シニアマネージャーやマネージャーの皆さんとともに、未来のスノーピークのためのプロジェクトも進めていきたいと考えています」

Snow Peak Tokyo HQ3 にて。

Epilogue

いかがでしたでしょうか。オンもオフも野遊びを全力で楽しむキャンパー揃いのスタッフたちが、皆さまのアウトドアライフをサポートさせていただきます。是非、店頭、イベントなどでお気軽にお声がけください。