【焚火台30周年企画】 from USER私と焚火台のあいだに。

Prologue
日本のキャンプシーンに「焚火台」が誕生して、30年。その道具は、自然を守りながら焚火を楽しむという新たなカルチャーをつくりました。
今ではキャンプになくてはならない存在として、日本はもとより世界各地のキャンパーたちにも親しまれるようになりました。そして、その一台一台に、使い手との物語があります。
今回は、海外5拠点のユーザーの皆さまから寄せられた、焚火台にまつわるエピソードをご紹介します。
◇子どもたちに伝えたい体験。
「この焚火台は、特に子どもたちにとって、ただ火を焚くためだけの道具ではありません。
薪を拾って、火をつけて、みんなで囲んで暖をとったり、料理をしたり。風や雨、日差しや土の感触を全身で感じながら、自然を体験できるんです。そういう経験が、スノーピークが掲げる『人生に、野遊びを。』を、単なる言葉ではなくて、子ども時代のリアルな思い出にしてくれます。
自然と触れ合って、自分でやってみて、誰かと一緒にいる時間を楽しむ。そして、フィールドで楽しみを見つけることを覚えていく。
焚火台は、人と火をつなぐだけではありません。子どもたちの心に『自然のフィールドに出て、感じて、生きることを楽しもう』という価値観を伝えてくれる、大切な道具です。」
― 双黄蛋(shuāng huáng dàn / 中国)
◇炎の向こうに、父を想う。
「キャンプは幼少期の当たり前の風景でした。古い灯油加圧式バーナーに火を入れ、食事をつくる父の姿を、今でも覚えています。あの頃の父は、何でも引き受けてくれそうな、とても頼もしい人に見えました。
アメリカに移り住んでからは、学校、結婚、子育てと日々に追われ、いつしか自然から足が遠のいていました。父に肺がんが見つかり、2年近く闘病しましたが、私は自分の生活に手一杯で、思うようには寄り添えませんでした。
父は2019年に亡くなり、その後、パンデミックが到来。先の見えない日々のなかで、父と過ごした幼い日の記憶が突然よみがえってきました。そして、衝動的に焚火台を買い、小さなパティオで火を熾しました。
火に近づいたとき、自分の中に何かが戻ってくるのを感じました。薪のはぜる音、流れていく煙…。それは、古いバーナーを扱う父を眺めていたあの頃と、同じ音と同じ匂いでした。
今ではほぼ毎週末を外で過ごしています。焚火台のそばに座るたび、父のことを思い出します。炎を囲み、あの時過ごせなかった時間を、ようやく父に手渡せているような気がして。当時と今との距離が、少しだけ近くなる気がします。」
― Allison(アメリカ)
◇いくつもの大切な夜に。
「僕とポピーのキャンプライフは、バックパッキングから始まり、道具を少しずつ揃えて快適なオートキャンプへ移行しました。そこで気づいたのは、『焚火を囲む時間』こそがキャンプの醍醐味だということ。料理を作り、お酒を飲みながら語り合い、夕食後も夜遅くまで火のそばで過ごす。あの時間が何より好きになりました。
特に料理好きな僕にとって、スノーピークの焚火台は欠かせない存在です。一番思い出深いのは、今年の夏、サウス・ダウンズで過ごした夜です。キャンプ場を貸し切り、僕はポピーにプロポーズをしました。
リモンチェッロ・スプリッツとおつまみで乾杯し、焚火でステーキを焼き、暖を取りながら星空を見上げて深夜まで語り合いました。あの夜を境に、焚火を囲む時間は僕らにとってさらに特別なものになりました。翌月には同じキャンプ場に友人を招いて婚約祝いを、その後は互いの両親を招いた焚火キャンプも開きました。
僕らの焚火台は手元に来てまだ数年ですが、すでにプロポーズの夜や、家族との団らん、友人たちとの賑やかな時間に寄り添い続けてくれています。これから先、どんな特別な思い出を重ねていけるのか、今から楽しみでなりません。」
― James TF(イギリス)
◇ふたつの焚火台。
「私の小さな焚火台は、たくさんの静かな夜に寄り添ってくれました。薪をくべて、火をつける。二人きりで、そばに座って、燃えていく火をゆっくり眺める。特に何をするわけでもない、あの感じが、私はとても好きです。二人で一つの火を囲む。二人だけのぬくもりが、そこにあります。静かで、自由で、とても親密な時間です。
そして、スノーピークのキャンプイベントに参加したときのこと。同じ焚火台なのに、この時は火が大きく、人もたくさん。見ず知らずだった人同士が、火のそばで言葉を交わし、物語を分け合い、それぞれの暮らしを分け合っていく。最後にはみんなで笑って、同じ火を見つめていました。
そのとき気づいたのです。小さな焚火台は、二人の距離を近づける。大きな焚火台は、見知らぬ人たちの距離をも近づけてくれる。火は、何も語りません。それなのに、なぜか人は、火のそばに腰を下ろすと、自ら話し始めるのです。
これが、私と焚火台の間にある一番深い物語。焚火台が私に与えてくれたのは、火の温かさだけではなく、同じ火のそばに座った人たちの記憶でした。」
― 史傑州(Shi Jie-zhou / 台湾)
◇焚火台の恩人。
「コロナ禍を機に、友人と一緒にキャンプを始めました。見た目に惹かれて購入したスノーピークの焚火台は、私にとって特別な存在でした。実際に出掛けてみると、その高揚感も束の間、私は焚火一つまともに起こせず、湿った松ぼっくりを燃やして、辺り一面を煙でいっぱいにしてしまいました。
その時、近くのベテランキャンパーの方がトーチを貸してくれ、『乾いた松ぼっくりを使うと良いですよ』と教えてくれました。お礼を伝えようとすると、その方は『今度、キャンプで困っている人を見かけたら、今日と同じように助けてあげてください。』と言って、颯爽と立ち去っていかれました。
隣のキャンパーの親切が、焚火よりも先に心を温めてくれました。私の初キャンプは、焚火台のぬくもりと同じくらい温かく、そして今もなお鮮明な思い出として心に残っています。
それから2年後、私はSnow Peak Koreaへ入社し、カスタマーサポート業務を担当しています。初心者のころに私が受けた親切を、今度はユーザーの皆さまへお届けできるよう、これからもより一層努めてまいります。」
― Kim Jae Hun(韓国)
Epilogue
いかがでしたでしょうか。
苛烈な熱に耐える強さと、長く使い続けられる堅牢なつくりによって、焚火台は使い手の人生に寄り添い、世界に一つの物語を紡いでいきます。そうして時代や世代を超えて、かけがえのない道具へと育っていくのです。
次回も、新たな焚火台のストーリーをご紹介します。どうぞお楽しみに。