noasobi essey scene 11「ふたつの太陽。」

とびっきり早く寝たせいか、夜明け前に目が覚めてしまった。
テントを出ると、回りには濃厚な霧がたち込めていて何も見えず、まさにホワイトアウトの状態だった。

散策を諦め、ストーブで湯を沸かし、その日最初のコーヒーを煎れた。
そうして1時間も経っただろうか、空と湖面に、黄色味を帯びた光りの球体が現れた。

朝の湿り気を帯びた、濃厚な霧の中のふたつ太陽。
「こんな風景には、めったに会えるものじゃない」そう思いながら、仲間を起こしにテントへ向かった。

2008年「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」掲載。
この連載では、2004年から「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」で掲載していた記事を再掲しています。