【開発秘話】品質に、情熱を。ランドステーション

天候やシーンにあわせてマルチに対応。
折り紙のような面白さのある特殊構造タープ。

暑い日には、ウォールを思い切り跳ね上げて吹き抜ける風を取り込み、日差しを遮るタープになる。夜、冷え込んでくればファスナーを閉じてフルクローズすることでシェルターのように風を遮り、プライベート空間をつくることができる。

ランドステーションはスノーピークのタープシリーズの中でも、そのセッティングバリエーションの多さで群を抜いた存在だ。

2本のメインポール(210cm)と2本のサブポール(140cm)で自立し、各パネルの接続部分にあるファスナーを開閉・切り離しすることで様々な天候にあわせて、快適な空間をつくり出すことができる。

そんなランドステーションが生まれた背景にある、圧倒的な情熱のストーリーをご紹介します。

「全天候型のタープはつくれないか」。
まだ見ぬ新たなタープの形を思い描いていた。

タープは非常に奥が深いアイテムだ。フレームや張り綱、グロメットやポールを活用することで、天候にあわせて様々なアレンジができる。横殴りの雨の日にはリビングに壁をつくり、位置を調整することで太陽の動きにあわせてうまく日陰をつくることも可能だ。

シンプルな1枚の布だからこそ、非常に万能なアイテムなのだ。

しかし、開放されているが故に、蒸し暑い夏は吹き抜ける風にありがたみを感じるが、秋口になると風が急に冷たく感じられることもある。

「ならば、秋はフルクローズすることでシェルターのように壁のある構造物になる、全天候型・オールシーズン対応のタープをつくれないだろうか。それをタープとして1枚の布で表現したい」。

開発者の新たな挑戦がはじまった。

開発室にあふれた模型の数々。

いくつの模型をつくっただろうか。開発室は、試作段階の模型であふれていた。

1枚の紙にスジをいれ、折り畳んでは広げる。1枚の紙はやがて、机上で立体的な構造物になっていった。

折り紙をつくっているかのようなその光景を見て、誰もタープを設計しているとは思わなかっただろう。その独自の開発方法は、極めて異色のものだった。

その開発者にはバッグづくりの経歴があり、企画、デザイン、パターン、裁断など豊富な経験を持つ。何度も手を動かし、折り目をつけ、印をつけた。

やがて、紙から生まれた模型は、実際のやわらかな生地へと変わり、木板に竹ひごを用いて固定され、開放時、フルクローズ時など設営のバリエーションや動作確認が繰り返された。

徹底してこだわったのはシンプルなデザイン。

時間をかけた検証の末、第一サンプルを試作してみたところ、ベースとして申し分ない仕上がりになっていた。

「これを調整していけば、きっと新しいタープになる」。目の前に設営された姿をみて、開発者は確信した。

一方、このタイミングで、他の開発者からメッシュの窓をつけたほうがいいのではないかと意見が出たが、それを開発者は頑なに拒んだ。

「あくまでもタープとしてリリースしたかった」と、開発者は当時を振り返る。
極限までデザイン的なディティールをなくし、シンプルに仕上げることに注力したのだ。

「タープ?シェルター?使い方がわからない」飛び交う声。

徹底的にタープにこだわったこの製品は、大地に根をはり、フィールドに溶け込むシルエットから、大地の駅の意味合いを持つ「ランドステーション」と命名され、2007年にリリースされた。

しかしユーザーに受け入れられるまでは、しばらく時間がかかった。「どうやって過ごすの?」「使い方がわからない」様々な声が飛び交った。

次世代タープのランドステーションは、新しいが故、何ができるのか伝えることが難しかったのだ。それは、スノーピークに現在のような大型店がなく、タープを展示するスペースもなかったことも原因だった。

カラーは、自然の景観に溶け込むブラウンと、グラマラスなキャンプシーンを演出できるアイボリーカラーの2種類。

いち早くその魅力に気づいたのはコアユーザーだった。

そこで開発者は、生地からファスナーまで忠実に再現した模型を製作し店頭に展示した。ファスナーを開けて高さを変えるなど、ランドステーションについて店員に地道に説明する体験をしてもらったのだ。

また、キャンプイベントなどで講習会を繰り返し行うなど、開発者自らが一つひとつの機能を説明していった。

そんな中、誰よりも早くその新しいタープの可能性を見出し、使用してくれたのは、コアユーザーたちだった。イベントなどで目にし、「カタログに載っていたタープだね」「かっこいい」と、その不思議なタープに対して徐々に興味を示し始めたのだ。

当時はまだSNSがなかったが、BBSというWEBサイトの掲示板機能にユーザーが様々な設営画像を投稿してくれた。

「ランドステーションの設営方法は無限にある」と開発者は自負していたが、ユーザーは開発者が考えもしなかった使い方を次々に発信してくれたのだ。あらゆるバリエーションをキャンプ場で実践し、多種多様なアレンジの可能性にユーザーはとりこになった。

また、その美しいシルエットが話題をよび、徐々に口コミが増加。コアユーザーから一気に広まり、ランドステーションの人気は不動のものとなったのだ。