【コラム】人口3000人ちょっとの町ならではの一体感。コンビニの無い町に、キャンプフィールドを。

2021年秋、山口県阿武町にスノーピーク地方創生コンサルティングが監修を行うキャンプ場がオープンします。
阿武町長をはじめ、開業に向けて奮闘する町の方々や担当者の想いを全4回連載でお届けします。

「無い」ことが、町の個性になる。

「山口県阿武町、人口3000人ちょっとの、コンビニの無い町」。

それだけ聞いてあなたはどう思いますか?
僕は最初にそれを聞いた時、そこにはどんな自然と、どんな生活があるのだろうかとわくわくしました。
 
市町村合併の流れから逸脱し、いまや逆に無い地域を探すことのほうが難しい「コンビニの無い町」って、どんな町だろう?
 
地方創生の文脈で地方を語る時に「無い」が個性になることがやはりあるんだと、改めて感じた瞬間でした。

その町の表情を知る、一番の方法。

僕たちスノーピーク地方創生コンサルティングは、「地域に潜在する何か」を、その地域らしくアップデートして野遊びを通じて磨き、そこに自然と人、人と人のつながりの回復を促すことを使命のひとつとしています。
 
初めて阿武町の担当者とお会いした2年前、その阿武町に潜在する「何か」がとても気になったことを覚えています。
 
ファーストコンタクトをとった後、僕がとった行動は、見積書を出すことでもなく、企画書をつくることでもなく「家族で遊びに行ってみよう」でした。笑

町の表情を見るには、名刺を持って第一ボタンを留めて行くより、家族と一緒にラフなTシャツとビーサンで行くのがベター(あくまで持論です)。

そして今、阿武町とお仕事をさせていただいているということでわかる通り、僕は一発で阿武町に惚れ込んだというわけです。

家族を連れて阿武町に遊びに行った時の話を始めるとそれだけでこのコラムが終わるので、続きが気になる方はぜひいつか焚火トークでお話ししましょう。

フードマイレージゼロ。産地の目の前のキャンプ場。

そんな経緯で、道の駅発祥の地(!)としても有名な阿武町でのキャンプフィールド計画のコンサルティングサポートに携わらせていただいたのが、2019年。

初年度は、キャンプフィールドについての基本構想/設計に関わりました。今回対象となるエリアは、前述の「道の駅 阿武町」の真隣の港に広がる空き地。

普段は漁師が網を干す場として使用している程度で、目の前に広がる透き通った海とも、防波堤の先に沈む夕陽とも関連つかない未利用の空き地です。

ここをキャンプフィールドした時に、活きてくる町の魅力は何か?

1.道の駅の食材のキャンプ利用?
産地直送どころか、ここそのものが産地。圧倒的なクオリティを誇る道の駅の海産物・地産品をキャンパーは楽しんで調理してくれるだろう。

2.美しい海と豊かな自然景観?
24時間近く町に滞在するキャンパーは、昼の美しい海、陽の沈む夕景に、この町の一日の魅力を感じ取り、可視化してくれるだろう。

3.海のアクティビティ?
自然で遊ぶことに長けたキャンパーが、阿武町のアウトドアアクティビティ(とその事業者)に興味を持ち、可能性を広げてくれるだろう。

4.個性豊かな町民との交流?
町民の生活の場である道の駅にキャンパーが集まることで、たくさんの人と人、町民と町外ユーザーの交流が生まれるだろう。

…きっと答えはそのすべてです。

キャンプは、その地域の自然(=人と自然のありのまま)を敬い、おもしろがる遊び。
 
キャンプフィールドは、つまりその町らしさをつなぐ阿武町の「縁側」になる。キャンプフィールドは阿武町の構想する「まちの縁側プロジェクト」*にマッチする事業になると、僕は確信しました。

*まちの縁側プロジェクト…阿武町の玄関口となっている「道の駅 阿武町」の周辺に滞在型交流拠点をつくる整備計画。「人・もの・お金の地域内循環を実現し、持続可能なまち」の実現を目指す。

顔が見える、声が聞こえる。3,000人の一体感。

少し余談となりますが、そんなサポートの傍ら、僕が感じた「これからを生きる地方」としての阿武町の魅力のひとつは、やはり3000人ちょっとの町だからこその一体感でした。

町で起こるひとつひとつが、町民にとっての自分事。そんな姿を、ある意味では自治体のあるべき最先端であるとすら感じました。

町長がすし詰めのバンに乗り込み片道8時間!自らキャンプ場視察を行い、焚火を囲みながら町と町民の未来を語る姿。
 
小さなニュースも、町のFacebookでちゃんと共有するアットホームなメディア感覚。
 
言わばひとりひとりの顔が見えるギリギリの人口。ひとりひとりの声が届くギリギリの人口。

阿武町が市町村合併の流れに乗らず守ったその「関係性」こそ、これからの地方の大きな価値になる。
 
そして、自然と人、人と人の関係性を想うキャンプ事業は、だからこそ阿武町らしい事業になるのだと、コンサルティングの立場ながら学ばせていただきました。

キャンプ場の詳細については、追ってみなさまにもご紹介させていただきたいと考えておりますが、連載最初のコラムで最後に言いたいことはひとつ。
                  
うまい魚と地産品、気持ちよい温泉と、美しくて遊べる海のあるキャンプ場、できますよ!!


次回の更新をお楽しみに。
※スノーピーク直営キャンプフィールドではございません。

わかまつ・りゅういち/2009年入社の10年目。入社前1か月半の離島テント生活を経て、「自然は無料でこんな美しい景色を見せてくれるんだな。気前いいな。」と感銘を受け弟子入り(自然そのものに)。旅終了後、誰でも明日からはじめられるアウトドア「キャンプ」にこそ可能性を感じ、スノーピークの門戸を叩く(一回落とされる)。思えば入社前、新卒で入った前職のはじめてのボーナスでランドブリーズ6とリビングシェルトンネルセットを大宰府店に買いに行き(当時22歳)、クレジットカードの限度額という存在を知り打ちひしがれたのがスノーピークとの最初の思い出。現在は、朝飯もわざわざ外で食うくせに、キャンプ2泊目の夜に「普通のおうちに帰りたい」とぼやく2人の娘と妻と日田で河川敷暮らし(家はあります)。そんな私の最近の注目は、アフリカギターの神様ドクチュール・ニコと、阿武町で食べたうおっちゃ食堂の漁師飯。引き続き宜しくお願いします。