【開発秘話】品質に、情熱を。和武器

自分専用の箸をスマートに携帯する二継式箸。

カトラリーは料理の味や食べる人の気分にもとても作用する。特に箸の場合は、物心ついた頃から自分専用のものがあるように、長さや太さ、重さなど、こだわりや愛着があるものだ。そのため、割り箸などはどうしても味気なく感じてしまう。

「手に馴染み、アウトドアに適した自分用のコンパクトな箸が欲しい。」

その想いから生まれた和武器は、二分割収納によって携行性を高めながら、運搬時における衛生管理を両立した二継式箸。持ち手は収納することを考え、清潔に保ちやすいステンレスを使用した。口にいれる部分は天然素材を採用。

1996年にリリースしてから、キャンプで箸を使うことを当たり前にした逸品だ。

そんな和武器が生まれた背景にある、圧倒的な情熱のストーリーをご紹介します。

日本の食文化に適した「箸」をアウトドア用に開発。

休日、開発者はフライフィッシングを楽しんでいた。昼時になり、バッグからバーナーとソロクッカーを取り出して湯を沸かし、乾麺を注ぎ入れた。市販の箸を手にしながら、ふと「もっと短い箸があれば携帯しやすいのに…。」という思いが湧き上がった。

思い返してみれば、いつもアウトドアで使用するカトラリーはフォークやスプーンばかり。

しかし、「日本食は、箸で食べたい」という欲求は、日本人にとって自然なこと。それならば、アウトドア用の箸を作ろう。

箸は長さがあるため、そのままクッカーに収納することは難しいが、キャリングに適したアウトドア要素を加えることで、日本の食文化に適したアウトドア用の箸を開発できるかもしれない。

早速、フィールドテストの場で他の開発者に、箸の開発をはじめることが告げられた。

先端部をグリップ内に収納する仕組みを考案。

なんども繰り返し箸の形状をノートになぞりながら分割方法と収納の仕方を考えていた。先が細く、グリップが太くなる箸特有の形状をスケッチしているうちに、中央部分で分割し、グリップの中に先端を収納することでコンパクトなスティック状になることに気づく。

しかし、その際に注意しなければいけないのが、衛生面への配慮として、先端部分がグリップの内側に触れることのないように固定することだった。

それを解決する構造が先端部エンドをネジで固定するもので、パイプの中で宙に浮かせて衛生的に保つことを可能にした。素材は清潔感を考慮しステンレスを採用。

和武器の基本構造ができあがった瞬間だった。

違和感のない接合部。口当たりのよい自然素材。

分割方法と収納方法の仕様は決定したが、1つ課題が残った。

それは先端部エンドとグリップをつなぐ接合部の段差。
箸を持った際、手の大きな人だとどうしても接合部の段差に指先が触れてしまい、食事中に違和感を与えてしまう恐れがある。

滑らかな印象を持たせるために、接合部の距離・段差の微調整を繰り返しながら適切なサイズ感を導き出していった。(接合部に関して、発売後も改良がつづけられ、2009年のリニューアルの際に、均一の太さだったグリップの接合部を、先端部にあわせて細めたことで滑らかな接続部になった。)

そして先端部分には頑丈な強化木工を採用。強化木工とは、樹脂を多く含んでおり、学校給食などの箸を製造する際に開発された素材で、大量の箸を大型食洗機で洗っても破損しない頑丈な材質。その頑丈さは、アウトドア用として適していながらも口当たりの良さも兼ね備えていた。

その後、より口当たりを追求していき2009年、現在の竹へ変更した。

発売から25年。国内外問わず受け入れられている。

当時、スノーピークは大量に消費されていく割り箸に疑問を持っていた。この想いから、アウトドアのシーンだけではなく「My箸」として普段使いをしてもらえるよう、首からぶら下げられるように紐を取り付けた。

そして、1996年、満を持して「箸」というアウトドアの新たなカテゴリーとして初代和武器をリリース。

日本の食文化に適した和武器は、エコの思想を世間が注目しはじめていたこともあり、発売直後から人気に火がつき、口コミで広がっていった。

また、海外でも和武器は多くの注目を集める。スプーン、フォーク、ナイフの3点を必要としない箸は、極限まで荷を減らすバックパッカーの間で受け入れられていったのだ。

発売から20年以上がたった今も、改良を繰り返しながら、現在も多くのユーザーに愛用される和武器はスノーピークを代表するギアに成長していった。