これがわたしの「野遊び」

ある日の朝。凛とした空気を顔全体で感じ、目が覚める。 「う、うぅぅ…。 寒いっ!」。
温度計を見ると、氷点下17℃。そりゃあ寒いわけだ。

シュラフに入りながら辺りを見回すと、2リットルのお茶が見事に凍っている。

「しまった!忘れた!」

このぐらいの温度になると、当然ながら凍ってしまうため、凍らないように逆にクーラーボックスに入れる必要がある。

そう思いながらも上方をぼーっと見上げると、テントの内側の結露が凍り、キラキラと輝いている。この季節にしか巡り合えない光景で、朝目覚めてから見上げるのを楽しみにしている。

寒い季節にキャンプをすると、結露の発生はまず避けられない。「はぁ」とため息をつきながら結露との戦いが始まるのだが、このときばかりは同じため息でも、うっとりとした心持ちで「はぁ」が思わず出てしまう。それぐらいキレイなのだ。

外に耳を傾けると、「ふさっ、ふさっ」と微かに音がする。期待で胸が躍り、寒いのも忘れてテントから外に飛び出すと、目前に広がる「白銀の世界」。

普段の生活の中のように周囲に溢れる音がない、静かで神秘的な世界だ。ここにいるだけで、五感が研ぎ澄まされていく。

そう、ここは雪の中。わたしは雪中キャンプがなによりも好きなのだ。

わたしのキャンプのベストシーズンは、冬。

ここ10年ほど、岐阜の山奥で雪中キャンプをしている。毎年、1〜2月を迎えるのが楽しみで、冬になると、降雪情報にアンテナを張るようになる。ただ雪が積もっていればいいわけではなく、「1m以上の積雪がないとキャンプをしない」というこだわりがある。

雪の上で過ごすには、もちろん「不便」がついてまわる。それをいかに工夫して快適に過ごすか、そこに雪中キャンプの面白さがある。

あくまで個人的な意見ではあるが、体温を保てる防寒着を着用し、氷点下10℃でも快適に過ごせるくらいのシュラフやマットを準備すれば、雪中キャンプはそれほど厳しいものではない。

雪中キャンプの最大の魅力は、「キャンドルナイト」だ。

雪で様々な形を作り、キャンドルに火を灯す。すると、まるで空から星が降ってきたかのようにフィールドには雪の中に灯る光が溢れる。一つひとつの灯りが真冬の冷たい風に負けないよう、揺らいでいる姿が、なんともけなげで可愛らしいのだ。

雪中キャンプの魅力は、まだまだ、山ほどある。

限られた誌面では、とても語り尽くすことはできない。

もっともっと話したい。

聞いてもらえる方、是非ともお店で声を掛けて欲しい。