noasobi essey scene 13「満腹の夜。」

1週間のキャンプ生活最後の夜、僕達は残った食材を使い切ることにした。

馬鈴薯、人参、玉葱、トマト、ソーセージ、昼食の残りのご飯、等々。
全てを鍋に入れ、煮込んだ。
わずかな醤油と残りの味噌を入れ、塩を振った。
待つこと40分あまり。こうして晩餐が始まった。

しかし3人で食べるには、あまりにも量が多過ぎたし、味は無さすぎた。
だが、捨てることには抵抗があり、最初は饒舌な雰囲気で、最後は寡黙な雰囲気の中ひたすら著と口を動かし続けた。

夜も更け、何とか鍋を空にしたものの、口をついて出たのは、ゲップではなく、ため息だった。

2008年「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」掲載。
この連載では、2004年から「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」で掲載していた記事を再掲しています。