noasobi essey scene07「ドロミテの朝。 」

僕たちはコーヒーを飲みながら、ドロミテ山塊の万年雪が朝日に輝く様を見ていた。

だがその感動も、体がトイレを求める思いに勝てるはずもなく急いでキャンプ道具を車に積み込むと、麓の町を目指した。

しかし、探せど探せどもトイレは見つからず、お互いが限界に達しようかという寸前、ロープウエイの駅舎が見えてきた。

祈る想いで、中に入り、目指すドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたものは、和式スタイルの便器だった。

イタリアのドロミテで、しゃがんで用を足しながら、 相棒は、今、何を思っているのかと考えたら無性に可笑しくなってしまった。

2008年「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」掲載。
この連載では、2004年から「Snow Peak Outdoor Lifestyle Catalog」で掲載していた記事を再掲しています。