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漆器は、日本全国にその地特有の製法を持ったものが分布しておりますが、その中で山中漆器の特徴は、木取りの際に木目を縦に使う、縦木取りと、その綺麗な木目を活かす、透き漆或いは拭き漆で仕上げる点です。
漆器と言うと、祝い事に使われる場面が多いかと思いますが、山中漆器は実用漆器として、上記の特徴を持つのです。長く使っていても狂いや割れが生じ難い、縦木取り。漆が擦れても、再度漆を上塗りすることで、少しずつ風合いと丈夫さを増していきます。
ただ、漆器全般に言える、使用上の注意点はいくつかあります。まず、材質が木材であるため、落としたり、堅いモノで擦ると、表面だけでなく、材質そのものが損傷することがあります。また、使用後に長時間水に浸けておくことも苦手です。使用後は、なるべく早く、洗って乾燥させておく方がいいようです。それに合わせて、湿気の多いところでの保管も苦手です。食器棚であれば、下の方より上の方が宜しいでしょう。
これだけ気を付けておけば、通常の使用で使えなくなる事は、まずありません。使っていくと、漆はいずれ擦れ落ちてきます。布着せなどの処理をしていませんが、地肌が多少出ても、すぐに水が染みることはありませんが、1カ所でも浸水箇所が見つかったら、上塗りを申し出ましょう。SP社でも卯之松堂でも、受け付けてくれるはずです。それらのメンテナンスによって一生いや、もしかしたら孫子の代まで使い続けていけるかもしれません。