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ブラックコーヒーの極意(松屋式抽出法)

とむの空間

キャンプ好きはコーヒー好きが多い様で(^^)
コーヒーがレシピ?と思われる方もいるかと思いますが、ノウハウが多いのでこちらに記載します。
抽出法はドリップだけに限定してもカリタ式、メリタ式、ネル、といろいろありますが、僕が最終的にたどり着いたのはヤスナガ式と今回紹介する松屋式抽出法です。
愛知のフレーバーコーヒーさんのおかげでこの抽出法にめぐり合えました。
今回はフィールドでの抽出用に器具をアレンジしてみました。

  • 使用アイテム

    クッカー

  • 料理ジャンル

    その他

  • 2006/9/8更新
  • 2006/9/8登録
  • 1回更新

材料:数人分

・コーヒー豆(1人15g、4人以上は1人当たり10g、2人、3人はその間の量を適量)
・ミネラルウォーター

調味料

・愛情♪

手順

準備
1.ミネラルウォーターを入れたドリップポット(チタントレッ
  ク700)に火にかけます。
2.河野式フィルタ(円錐フィルタのこと。U社のものでも
  良い)を折り目と対角上の位置で折ります。(四角錐の状態
  にする)
3.サーバー(ダブルマグなど)にドリッパーとフィルターをセ
  ットします。
4.ミルで豆を挽きます。挽き具合は粗挽きで(写真を参照。カ
  ットミルが豆のサイズがそろうためベストです)
5.フィルターがセットされたドリッパーに豆を移し、スプーン
  で豆を軽く押して中心にくぼみを作ります。(新しいコーヒ
  ーは深く、古めのコーヒーは浅く掘るのが良い)
6.湯がぐつぐつ言ってから4分ほどたった後蒸らしの工程を開
  始します。
※松屋式ではカリタ式、メリタ式とは違い豆を粗挽きにします。
 これは豆をすべて沈めて抽出する方式なので、豆を浮かして抽
 出するカリタ式、メリタ式のように細かくするとフィルターが
 目詰まりを起こして抽出できなくなるためです。

むらし
7.できるだけ中央に細く湯をさします。
8.コーヒーが下からしみ出してきたら外側に向けてだんだん大
  きく円を書くように豆をぬらしていきます。
9.ドリッパーに蓋をして新しい豆なら5分、時間がたった豆な
  ら3分程度蒸らしておきます。(ガスが抜けきるまで)
※蒸らしの目的は豆の抽出前の足並みをそろえることが目的で
 す。
 具体的にはローストの再に発生する豆の中のガスを抜くことが
 目的で粉の内部と、粉の隙間のガスをいかに少ないお湯でスム
 ーズに抜くかがポイントです。
 ペーパーが濡れるとガスは通れなくなりますし、粉が濡れると泡
 になります。
 このため中心から湯をさし底まで到達した後に外側にガスを押
 し出すように湯をさします。

抽出
10.豆の中心より若干外側から円を書きながら湯をさします。
  豆は沈んだままの状態でひたひたの状態になるまで多めに湯
  をさします。(泡を出さないことと豆が動かないようにす
  る)
11.ひたひたになったら中心からだんだん大きな円を書くよう
  に湯をゆっくり細くさし、外側まで行ったら中心に向かって
  小さく円を書く動作を繰り返します。(つねにひたひたの状
  態を維持すること)
12.人数分の量の半分程度に近づいたら抽出されるコーヒーの
  状態に注目してください。コーヒーの濃度が濃い茶色から薄
  くなった時がドリッパをおろすタイミングです。(全体的に
  濃度が低下してる場合は顕著に、濃度にばらつきがある場合
  はゆっくりと色が変わります。)
13.ポットに残ったお湯を再度火にかけ沸騰させます。
14.抽出された濃いコーヒーをスプーンでよくかき混ぜ空気と
  なじませます。
15.コーヒーの原液に沸騰したお湯をたしお好みの濃度に調整
  します。
16.カップに取り分けて出来上がり。
※蒸らしが終わった豆に湯をさすと一気に成分が溶け出します。
 抽出中は高い濃度を維持させるために豆全体の濃度をいかに均
 等に下げていくかがポイントとなります。
 このため豆を動かさないことと、常にひたひたを維持するのが
 コツです。
 抽出温度は85度程度がベストで、抽出後は60度前後となり
 ます。
 蒸らし中の時間でポット内の湯の温度を低下させます。
 フィールドでは常に条件が違うので慣れるまでは温度計を持参
 するのがいいと思います。
 抽出後の液に沸騰した湯を足すとちょうど80度くらいとなり
 飲み頃の温度となります。

最後に
コーヒーのうまい、まずいを決める要因ですが、コーヒーには次の特性があります。

旨味
・高い濃度のコーヒーでも溶ける
・低温でも溶ける
・先に溶け出す
・吸着されにくい

雑味
・低い濃度でしか溶けない
・低温で溶けにくい
・溶け出す時間が遅い
・吸着されやすい

どの入れ方でもうまいと言えるコーヒーは旨味を出して雑味を出さない条件を満たしているものです。
多くの好条件が含まれる抽出法ほど失敗が少なくよりおいしいコーヒーが出来ます。

コメント

06/9/8

mojohand

奥深いですね〜、こんなに考えて飲むのは美味しいでしょうね。
面倒くさがりの私にできるかな??参考にさせて頂きます。
いや〜やっぱり出来ないかな?

とむ

はまるとこだわっちゃう性格なんで・・・
やってること自体はたいした面倒ではないですよ。
大分くどい文章になってしまいましたが、ノウハウを文章にして伝えるのって難しいですねぇ。

mojohand

でもここまで書いて頂ければ真似がしやすいです!
それにしても物知りですね。

とむ

雑学ばっかですが・・・(^^);
そういえばDOのこげは取れましたか?

mojohand

そうそう、結構取れましたよ。
その節はお世話になりました、有り難うございます。
U社のステンのへらの件ですがキズが付くと理由で
木のへらが好ましいということですよね。
素朴な疑問ですが。。キズが付くと何かマズイですかね?
やっぱり錆びやすいとか、、色々弊害があるのでしょうか?
C社のDOを使用しております。
まったく持って無頓着なんで、ワイヤーブラシで擦ろうと思ってました(笑)

とむ

簡単に言うとシーズニングが取れて酸化していない鉄が露出するからです。
シーズニングしたての頃のDOってガンメタっぽい色をしていますよね。
それが使い込んでいくうちに黒光りしていくようになります。
この黒いものは何かというと、マグネタイト(黒錆)と油分が複雑に絡み合ったものです。
通常酸素が多い状態で鉄がさびるとヘマタイト(赤錆)になりますが、酸素が少ない状態で高温にさらすと酸素の結合量が少ないマグネタイトという錆になります。
DOはこのマグネタイトと油の混ざった層を使い込んで厚くしていくことによりブラックポットに変わっていきます。
なのでこの層を落としてはいけない故に金属製のスクレパーはタブーなんです。

mojohand

そうなんですか?勉強になります。これからは重曹を利用してあげた方がよさそうですね。
でもU社は知っているはずですよね、表面の焦げをとるレベルで
擦って取れとは書いてないか。。
それにしてもよくご存知で。
今の私のDOは酷い扱いをされたわけですね。。。

とむ

U社製の物は黒皮鉄板なので鋳鉄とは基本的に扱いが違います。
あれは焼きそばの鉄板みたいなもんでスクレパーでガシガシ(角が傷付かない程度に)やっても問題無いのですよ。
でも鋳鉄物と圧延鋼では料理の出来はまったく別物ですよ。

mojohand

そう言えば材質が違いましたね、お恥ずかしい。。
ちょっと扱いが簡単だということで迷いましたが、、
とむさん、鋳鉄物でもやっぱり差はありますか?
SPのぶんぶくは高価で買えないので、和鉄くらいが欲しいと思ってるんですけど現在使用しているC社の物とはやはり格段の差は
あるのでしょうか?
C社の物でも私なりに満足いっておりますが。。

とむ

mojohandさん
若干私感もは入りますが鋳鉄物でも若干得手、不得手があります。
結論から言うとコールマンのDOとSPの南部鉄器とではクオリティーはSPのほうが高いですが、性能としては大差ないと思います。
LODGE製の物も同様です。
僕はオリジナリティーを最も重要視するので人に勧める際この中では間違いなくLODGE製を薦めます(SPさんごめんなさい)が性能としてはどれも問題なく使えます。
ただ、ぶんぶくとOIGENだけは違う側面を持っています。
漆の話ではありません。
厚さの考え方とポットの形状の違いです。
ここで料理の得手、不得手が出ます。

Sea walkerさんはじめまして。
抽出している状態がわからないので何とも言えない部分もありますが、旨みの成分は抽出されやすいのでペーパーに旨みが吸い取られるということはないですよ。
薄くなった感じがするというのは1杯出し出の話でしょうか?

あとミルクを入れて飲まれる方にとってはこのドリップではすっきりしすぎていて物足りないと感じる方もいるかもしれません。
この場合はわざと長めに抽出して雑味を入れてやることでコクが生まれます。
松屋式で抽出後お湯を足さないでミルクを足すと濃厚なカフェオレが出来るのでこれもまたおいしいですよ。

1分少々の蒸らしというのは中細引きくらいでの時間なので多分最もポピュラーなカリタ式に類似した抽出法と思いますが、蒸らしの時間はどの程度の荒さの豆からどの程度のガスを抜くかという考え方によって方法が異なります。

みくたんパパ

こんばんは!
とむさんって、DOについてもすんごい物知りですね。
ビックリしました。それに、このコーヒーの大作レシピ、
素晴らしいです。ちょっと驚いたのが、蒸らし時間の長さ
です、そんなに長くするもんなんですね。カットミルも
持ってられるようで、ちょー本格的ですね。今度私は、
家にはエスプレッソマシンがあるので、キャンプでも
エスプレッソいれられるようにしたいんですよ。
次回大作待ってます!!

kenken

とむさん、はじめまして。
私も珈琲が好きでキャンプでもペーパーで飲みます。
自分なりにこだわっていましたがとむさんのこだわりはすごいですねー!一度トライしてみます。でも全部覚えられそうにないのでプリントアウトして挑戦です。

先月簡単な珈琲焙煎を教えてもらったんです。これが結構簡単で今はこれにハマッテます。いわゆる銀杏煎りを使うやつです。先日これの改良型で珈琲煎り器として売っているものを買いました。製造はスリースノーでした。ご存知の方も多いと思いますがこれはU社の厨房器具ブランドです。
キャンプ場で自家焙煎したての珈琲最高です!
皆さんにも是非お勧めです。

とむ

みくたんパパさん
こんばんわ。
大作なんてお恥ずかしい。。。
僕もこの抽出法に出会ったとき蒸らしの時間は驚きましたね。
もともと深煎りのローストが好きなんですが、ロースと仕立ての深煎り豆ほどガスの含有量が多く蒸らしの時間は多少長くなります。
慣れていない豆だと最初はよく失敗したりします・・・
エスプレッソの場合はマシーンによってノウハウが違うので、僕が説明できるのは持っているやつだけですね。でもSPじゃないし(^^);

kenkenさん
はじめまして。
ローストはまだやったことがないんですよ。
今度の楽しみですね。

mojohand

とむさん感謝、感謝、感謝!非常に勉強になります!!
次回DOを買う機会があれば取り扱いを考えます。

06/9/9

SHOWSEI

とむさん
こんにちは
大変参考になりました
私はは学生時代、喫茶店でバイト経験あり
「美味い、旨い、上手い」
を云われる事を目標に色々探求しました
いや〜それにしても
とむさんの追究心には感心させられます
素晴らしいです!

とむ

mojohandさん
いいDOにめぐり合えると良いですね。
うちは4つDOがあり料理や用途によって使い分けるつもりで増えていったんですが、なんだかんだ言っても使用頻度が高いDOってのが出来てしまうもんです。
やはり使って何ぼのDOなので相棒と呼べる1個のDOで全てをこなすってのが一番のダッチマスターかなと思ったりもします・・・

SLOWHANDSさんこんばんわ
来年のSPW、もしくわそれが無理だったら僕が北海道戻ってからでもキャンプサイトでコーヒーの味比べしましょう!!
コーヒーの味ってその人の想いが出ると思います。
SLOWHANDSさんのコーヒー。楽しみです。

SHOWSEI

こんばんは
そうですね
SPWもありますし
それ以外もってことで
コーヒー&焚火談話をまったりと!

06/9/10

mojohand

DO4つですか?それ聞いてちょっと安心。
なんか壊れてもいないのに買いなおすというのがもったいないと考えておりましたが、「買い足す」という考えにしてしまえばいいですね。いろいろ参考になります。

とむ

mojohandさん
DO沼にはめてしまった様な気が・・・(>o<);

mojohand

はめさせられたような気が、、、(笑)

06/9/18

Beer1

KONOドリッパー愛用してます
昔は自作のドリッパーとか作ってましたが車での移動ですので 野外でも美味しく飲めるように家同じ道具を持っていっています
次はボダムと思っていますが...
繋がりました〜

06/9/24

とむ

Beer1さん
先ほどまで9連で外出しておりました。
遅くなりまして申し訳ございません。
繋がりありがとうございます。

自作のドリッパーですか。
なかなかのコーヒー通ですね。
たしかに同じ道具であったほうが失敗が無くていいですよね。
しかし、ポットを如何に持ち出すかが難点で僕は今のところトレック700を使っています。
やはりこれでもドリップポットにはかなわず100点の味は出しにくいですね。

カフェプレスといえばボダムですね。
使ったことはありませんが(^^);

06/9/25

SHOWSEI

ご馳走になりました
これ美味いです!
達人曰く今回は60点の出来とか...
十分美味しかったです
今度が楽しみ!

06/9/26

Beer1

キャンプの時も月兎ポット持ち歩いています
イチオ家で使うよりも小さなやつで...
ドリッパーはKONOのやすいタイプにしてますが年に1回くらいヒビ入れます
外からテープ補修して使ってます
もうネルには戻れないですしね〜
余談ですが 我が家のナイスカットミル挽きムラが出てきました
軸が減ってきたんだろうか 調整しなきゃ

とむ

うちの自宅使用はカリタのドリップポットなんですよねぇ。
鼻を曲げずに持ち歩ける自信が無いので自粛してます。
月兎ポットだと松屋式には吐出量が多すぎて僕にはちょっと難しいですわ。
僕もネルには戻れないですね〜

ぽりん(ゴンタの嫁)

とむさん、こんばんは。
コーヒー話、興味深々です。
おいしいコーヒーを飲みたいけれど、まだコーヒーの道具は買っていません。。。
調べれば、いろいろあって、悩むところ・・・
また、いろいろ教えてください!

06/9/27

とむ

>ぽりんさん
僕でよければ喜んで。
といってもコーヒーは奥が深いですから僕なんかはまだまだです(^^);

06/9/30

MyDOタック

とむさん、こんにちはー。
たいへん参考になります。
何度か試してみましたが、やはり美味しいです。
今までコーヒーをブラックで飲まなかった嫁はんもブラックコーヒーが好きになったようで、最近ではすすんで生豆焙煎をカッテデマス・・。(笑)

つながりますんで、宜しくお願いします。

06/10/1

とむ

MyDoタックさんこんにちわ。
つながりありがとうございます。
実は僕もブラックコーヒーにはまりだしたのは松屋式を知ってからです。
口にしたときにズドーンと来る心地よい苦味とアロマ。
そしてコクのある余韻を残してスーと消えていく苦味。
たまりません!!

ちなみに缶コーヒーはもっぱらカフェオレのみです(^^)

06/10/2

MyDOタック

こんばんはー、とむさん。
>そしてコクのある余韻を残してスーと消えていく苦味。
僕もこういう後味のいいコーヒーが好きです。
ちなみにここ数年、インスタントと缶コーヒーを飲んでません。
もらっても持って帰りますと、娘が喜んで飲んでます・・。(笑)

06/10/6

ぽりん(ゴンタの嫁)

とむさん、とても参考になりました。
また、教えていただいた方法で淹れてみます!
いろいろ教えてくださいねぇ♪

とむ

はいはいなんなりと\(^o^)/
先ほどの2度濾しは旨味が
・高い濃度のコーヒーでも溶ける
・低温でも溶ける
・吸着されにくい
というのと雑味が
・低い濃度でしか溶けない
・低温で溶けにくい
・吸着されやすい
という特性を利用した淹れ方ですね。
先ほど書いた以外に1度目である程度の濃さを出すというのも重要です。
慣れれば加減は簡単ですよ。
あと、僕のドリッパーですが、写真でお分かりの通りU社の物を使っています。(本来松屋式はただの金枠です)
これには2つ理由があって、手順にも書いてある通り豆から発生するガスををいかに少ないお湯でスムーズに抜くかという点で有利なことと、「湯をさす」入れ方では丸くないと注ぎにくいというか抽出むらが必ず出来てしまうというのがその理由です。(円錐型が理想)
ですから、焚き火台型ドリッパーでの最適な入れ方は湯をささないメリタ式か、2度漉しで入れるのが最適だと思います。
フィルターの折り目が気になる場合は河野式のフィルターを使うと解決すると思うのですが、合うかどうかはやったことが無いので保証できません・・・(爆)