いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます。出不精な僕のキャンプの楽しみ方。

ウィスキーを飲みに、キャンプに行くのかもしれません。

3年前の冬、新潟にあるスノーピーク本社に隣接するキャンプ場の豪雪の中に立っているテントを見て、「雪中キャンプってかっこいいな」なんて思いながら、緊張しつつスノーピークの最終面接に臨みました。その時の最後の質問、「キャンプに行って何をしますか?」 その答えが、このコラムの題名でした。聞かれそうなのですが、まったく考えていなかった質問に対し、無意識に出た言葉に、面接官の方は笑い、なんとなく「わかるよ、それ」という表情をしていたように思います。

基本的に出不精で、無類の酒好き。外出するのは、もっぱらキャンプをするときのみ。佇まいがかっこいい「チタンマグ」と、色々試した中でも使い勝手抜群だった「ケトル No.1」は必ず持っていきます。いちばん愛着のあるモノ。そしてウィスキー。とにかくウィスキーの酩酊感が、僕は好きです。僕は毎日ウィスキーを飲むのですが、キャンプのときは普段飲まないウィスキーを持っていきます。暑い日はピートの効いたタイプ、寒い日は柔らかめのシングルモルト。水がよいキャンプ場なら、水割り用にちょっといいブレンデット等々…。

白州なら白州の森の香りを感じますし、アイラならピートと少しの塩っぽさを感じます。造られている自然環境によって大きく味わいが変わるウィスキーの味をよりおいしく感じるのは、やはり同じく自然の中にいるからなのかなと思います。ウイスキーの香りはその土地の匂いを感じさせ、その土地の風景が焚火を通して浮かび上がるような気がするんです。

回数を重ねるごとにわかってきた、キャンプを楽しむためのマイ・ルール。

今ではそんな余裕を楽しむキャンプをしている僕ですが、誰にでも、どんなことにも始まりはあります。初めて買ったテントは、フジロック用。そのテントでキャンプを始めました。出不精なのに。そしてそのテントは、ふもとっぱらキャンプ場でのとあるキャンプ時の、深夜の突風で吹っ飛ばされました。その帰り道、「スノーピークストア WILD-1 多摩ニュータウン店」に行った僕は、もろもろ事情を話し、「テントとは何ぞや」「このロープは張らないと」など、店員さんにあれこれ聞いているうちに、「深い、奥が深い」と感じ、この瞬間キャンプに対しての興味が心底湧いたのです。それからは毎月1回以上のキャンプを目標とし、毎回必要なモノや、必要なコトに気づき、回を増すごとに自身のキャンプスタイルが確立したように思います。

・食材はキャンプ場近くで地物を買う(「あっ!花ズッキーニがある!」みたいな驚きに小さく感動)。
・「長野にきたんだから今日はマルスウィスキーだな」など、夜の酩酊に思いを馳せる、始まる前のプチ儀式を行う。
・道志に行くときは、道の駅で地元のおばちゃんが作っている梅干しを吟味。塩分濃度を比べながら選ぶ楽しさがたまりません。
・焚火が始まってから、とっておきのウィスキーを飲み始める。まずストレートで飲んで、どんな飲み方するのがいいのか考えるのが楽しいんです。バーボン系のピリッとした味わいのものは常温ストレート、ピートが効いたのは炭酸で割ってハイボールで。一滴だけの加水なのか、5:5なのか、最適解を求めてただひたすら飲みます(笑)まぁ、完全なる好みですが…。

「さて、このウィスキーはどんな飲み方がいいだろう」「小さな音で聴く音楽は、何にしよう」「あぁ、誰か薪をくべてくれ…」などと思いを馳せながらやっているうちに気持ちよく酩酊して、時間とともに家では絶対に味わえない瞬間がやってきます。浅間山の近くで見た満天の星空、四尾連湖の深い霧の中で桟橋にノクターンを置いた幻想的な夜、月明かりで浮き上がる富士山と野生動物の鳴き声……。心地よい時間を求めて出不精がキャンプをしてる姿を、想像できましたでしょうか?

「酔うという事は体が夢をみることだ」。好きな本に、こんなお気に入りの一文があります。キャンプをしている自分は、そんな酔っ払いでい続けたいと思います。そしてキャンプの時間は、夢をみているようにあっという間に過ぎ去っていく。だから何度も行くんでしょうね。
 
 
 

くどう・ゆたか/前職でアパレルや百貨店勤務などを経て、スノーピークへ入社。コンパクトな装備でのキャンプが好きで、自宅に50種類以上のウィスキーを常するウィスキーマニア。