人生を動かした登山の魅力父と山が教えてくれたこと

父と初めて登山をしてから約10年、山に登ることは私の人生に欠かせない野遊びとなりました。高度な技術や経験は持っていませんが、最近ではお客さまに、登山に関するアドバイスをすることも。「登山に挑戦してみたいけれどなかなか踏み切れない」そんな方へ、登山の魅力をお伝えします。

人生を変えた、山頂からの景色

私が初めて登山をしたのは高校3年の夏。高校球児だった私が最後の大会で敗れ、達成感と喪失感でいっぱいになっていたとき、父が私を登山に誘ったのです。連れていかれたのは山梨県と長野県の県境にある八ヶ岳。(今思えば、いきなり一泊二日山小屋泊の登山によく行ったなと思います。)
体力に自信があるからと前半にハイペースで登った結果、後半はバテバテ。なんでこんなに疲れてまで登らないといけないのだろう……と、何度も感じました。

しかし頂上で待っていたのは、疲れを一気に吹き飛ばす絶景。どこまでも続く、人工物の一切ない青空、緑豊かな大自然、満点の星空。早朝に見た、はるか先まで広がる雲海は、今でも鮮明に覚えています。この経験こそが、私の登山人生の始まりとなりました。

山がくれた、父との時間

すっかり登山にハマった私は、社会人になった今でも登山を続けています。1人で登ることも友人と登ることもありますが、やはり印象に残るのは父との登山です。

とくに思い出深いのは、昨年行った南アルプス、北岳・間ノ岳の縦走登山。
Snow Peakの山岳テント「ファル Pro.air 2」でテント泊をし、山頂では、父の誕生日にプレゼントした「チタントレック 900」と「ギガパワーストーブ 地 オート」で食事をしました。

「ファル Pro.air 2」。
軽量で持ち運びがしやすく、アウトフレーム構造なため素早く設営できるのが魅力。

「チタントレック 900」と「ギガパワーストーブ 地 オート」。
どちらも軽量で持ち運びしやすく、手軽にお湯を沸かすことができる。

山での食事中には、「あの山は良かったよ」「今度あそこに登山しに行こう」と何気ない話はもちろん、仕事の話、人生相談をすることもしばしば。離れて住んでいる父との貴重なコミュニケーションの場です。父はそんなに多くのことを語る人ではありませんが、その背中を見て育ち、父と登山をするたびに、私に野遊びの楽しさを教えてくれたのは父だなぁと感じます。

山は、新しい挑戦と学びの場

登山にはリスクが伴います。しかし同時に、日常にはない機会が溢れています。

ルールやモラルの大切さを学んだり、人と行動するときの大切なポイントに気がついたり、自身に挑戦したいという気持ちが芽生えたり、普段ない環境だからこそ生まれることがたくさんあると思います。

ご興味のある方は、まずは、2~3時間で登れる山や、ロープウェイで山頂近くまで行けるような山から、始めてみるのがおすすめです。

静岡・山梨で勤務していた頃、仲良くさせていただいていたユーザーさまから「登山を始めてみたいけど、自分たちだけで行くのは不安」というご相談をいただいて、一緒に登山にいきました。
私はこの時初めて、世間一般では登山へのハードルが高いということを知ったのです。父がいたからこそ安心して始められたのだと深く感じました。

ユーザーさまご家族と計11名で山梨県本栖湖近くにある竜ヶ岳へ。
子どもたちもいるため、ペース配分に気を付け、適宜休憩を入れて、いざ自分が先頭に立って歩くと、その大変さが身に染みて、父もこんなふうに私と登ってくれていたのか、と気づきました。しかし、ユーザーさまのわくわくした顔、子どもたちの笑顔が何よりうれしくて、終始楽しみながら登ることができました。
下山中はずっと子どもたちへクイズを出し続けて、声が枯れたのは良い思い出です(笑)。

その後、この登山をきっかけに子どもたちが登山にハマり、キャンプに加えて登山も家族で楽しんでいるとのこと。そのお話をお伺いして、山を好きになってもらうきっかけを作れたことがとても喜ばしかったです。

私が今感じている「伝えたい」という気持ちや登山を通じて得た経験は、あの時、父が山に誘ってくれなければ、たどり着かなかった私自身のライフバリューだと思います。これからも父から教わった野遊びの楽しさを、多くの方へ伝えていきたいです。
 
さて、次はどこの山へ登りに行こう。

※新型コロナウイルスの影響により、登山道を閉鎖している自治体や営業を休止している山小屋もございます。登山に出掛ける際には、事前に最新情報を確認の上、感染予防対策を万全にしてお出かけください。