素材から読み解く「不動の定番」の魅力「インサレ」ってなんだ?-秋冬版-

「インサレ」という略称を定着させたのは、誰だっけ?確か、営業部の小山だったと思います。今では社内の会議資料でも「インサレ」と略されるほど。こいつは何者か、今回は、そんなカタカナ4文字で定着した“スノーピークアパレルの顔”というべきアイテム「インサレーション」のお話です。

「Flexible Insulation」、これが「インサレ」アイテムの正式な総称です。簡単に言うと、伸び縮み(ストレッチ)する中わた製品なのですが、何が珍しいのか、何がオリジナルなのか、順を追ってご紹介していきましょう。

快適な着心地と妥協のない機能性。

まず、素材に着目してみます(今回は秋冬のアイテムについて言及しますね)。表地、裏地にはニット(30Dポリエステルスムース)を使用しています。ニットという編地の構造を利用して、糸一本一本が動作に合わせて伸縮し、タテヨコナナメ、あらゆる方向にストレッチすることができます。またニットにすることで織物よりも柔らかい風合いとなり、ソフトタッチな着心地になります。更に、アウトドアで使用することを前提としているので、表地には撥水加工と防風コーティング、裏地には帯電防止加工を行っています(冬のアウトドアで着用頻度が多い、ウール、ポリエステル、ナイロンの組み合わせは非常に静電気を発生させやすい相性なので、ないのとあるのとでは全然違うのですよね)。中わたも「エアパック®3Dハイパーストレッチ」という、従来の中わたよりも高い伸縮性を持せながら、かさ高性も確保し、さらに厚み方向に高い弾力を持ち合わせることを実現させた特殊なものを使用しています。

それだけではありません。縫製するミシン糸も当然ストレッチする糸を使用し、縫製方法もTシャツなどを縫う際に用いられる裏で糸をバネのように絡ませ、素材の伸びに追従する構造の縫製仕様を採用しています。インサレが発売された当初、縫製は伸縮性のある糸を使用したミシン縫製でしたが、素材のあまりのストレッチ性の高さに糸の伸縮性が追い付かず、過負荷で伸びる箇所で糸が切れてしまうという事が起こりました。この問題を解決するために、どのような縫製方法が最適か、工場と模索しながら何回も試作を行い、現在の仕様に落ち着きました。“伸縮する”ということに関して4000年の歴史があるといわれている中国拳法顔負けの研鑽を重ねており(笑)、実のところ、縫製が非常に困難であるがゆえに、工場の方に「縫えない」と言われたこともあります。「インサレーション」の着心地、着用時の快適さを追究する裏には、こうした『プロジェクトX』ばりの汗と涙と努力の物語があるのです。

スノーピークアパレルの永遠のアイコン。

「シンプル・イズ・ベスト」という言葉がありますが、この「インサレーション」はコンセプト、素材特性、デザインが最小単位で最大の効果を発揮する最も合理的で美しいアイテムに思えてならないのです。その愛着がみなさまのお手元に渡り、感じて頂けるからこそ“感動品質”に繋げることができるのではないかと思っております。この先も「インサレーション」は見えないところ、見えるところの両方で年々改良を続けていきます。100年経って「LEVI’S」の「501」のように年代によってヴィンテージコレクションされたりするくらい、この先ずっとスノーピークアパレルの永遠のクラシックアイテムとしてラインナップしていきたい所存です。

 

すが・じゅんや/ピンク・フロイドが嫌いで上京するが、上京先で良さに気づき、うやむやにする。Snow Peak Apparelの素材担当。風貌、言動からよく出先で社外の人間と認識されがちであるが、めげないひたむきな姿勢は目を見張るものがある(らしい)。特技は空港でペグハンマー Pro.Cを没収されること。