一皿に、自然への感謝を込めて。北欧から世界へ広がる新たな食文化

New Nordic Cuisine -新北欧料理-

これは、厳しい自然環境から、美食とは無縁の地とされてきた北欧で、コペンハーゲンのレストラン「noma」のシェフ、レネ・レゼピ氏を中心に立ち上がった、新たな食文化のこと。

その土地の自然の恩恵を受けた食材にこだわって、生産者も含めた食に従事するすべての人にとってサステナブル(持続可能)な食文化を提案し、ゼロから新たな北欧料理を創造しました。そして「noma」は世界一のレストランに4度も輝き、たった1回の食事のためだけにでも、世界中からコペンハーゲンへ美食家が集うようになり、“おいしさ”だけを追求してきた従来の美食の常識を塗り替えたといわれています。
 
この「New Nordic Cuisine」という新たな潮流の礎を築いた一人でもあり、現在も世界各地で活躍しているシェフ、アラン・ハウンストロップ氏に「自然とともにある食」について教えていただきました。

料理の主人公は、食材と、食べる人。

自然の中で調理をし、自然の中で自然の味をお客様へ体験していただくのが、僕にとっての一番の楽しみです。料理の主人公は、シェフではなくて、食材と食べる人たち。今、世の中の食文化は、便利さと値段に、あまりにも強く影響されています。値段の高い料理がいいのではなく、できるだけサステナブルな食材と、体に良い自然な食材を求めることが大切なのだと思います。

今を生きる私たちが、未来の子供たちのためにできる、この従来の食文化を変えることです。現在の状況は昔とは違っていることを自覚しながら、今まで通りにやっていくことはできません。食文化をもっとサステナブルに変えていくために、僕のようなシェフがその重要な責任を担っているのだと感じるのです。
料理を通じて、少しでも、日常の食生活を変えていきたいというインスピレーションを与えることが、シェフの役目。私たちが提案する「New Nordic Cuisine」は、それを追求しています。

「食」を通じて、自然への感謝を伝える。

なぜ自分がシェフになりたかったのか、その青春のロマンと夢を忘れないことが、シェフとして一番大事なこと。自分の情熱と愛を、料理を通して相手に分かりやすく伝えられるか、これは毎回チャレンジです。

わたしたち人間は、この世界に存在し始めてからずっと、大地によって育まれ、生きるために植物や動物を食べてきました。自然に対して、このことへの感謝の気持ちを込めて料理することを大切にしています。様々な環境問題や社会問題があるなかで、自然の素晴らしさに気付き、それを守っていくことが、今を生きる人類にとって最も重要なことであり、人類が果たすべき責任なのです。
そして、気持ちよくナチュラルに、そのことを気付かせる素晴らしい手段が「食」です。言葉や文化の壁を超えて、料理を通して人の心をつなげることは「食」がもつ素敵なパワーだと思います。

感動する「食体験」とは。

無農薬で育った自然栽培の食材の美味しさを、皆さんはご存知でしょうか。自然栽培された野菜の美味しさは、どんなに手を尽くした料理にも叶わないくらいの美味しさです。例えば、ほとんど手をつけず、炭焼きしたオーガニックのトウモロコシに、少し塩を降っただけでお客様を感動させることができる。この瞬間に、シェフとして一番興奮します。素材の一番美味しいところを、一番美味しく味わえる調理方法で提供する。これこそが料理の醍醐味の一つです。
日本の豊かな自然の中で、皆さんにも料理を提供させてただく日を心から楽しみにしています。



Allan Haunstrup(アラン・ハウンストロップ)
シェフ、オーガニックアンバサダー/「世界一のレストラン」に4度輝いたデンマークのレストラン「noma」が牽引する北欧料理の新たな食文化“New Nordic Cuisine”の礎を築いた一人。オーガニック食材とローカルプロデュースに徹底してこだわり、デンマークの他、キューバ、ドミニカ共和国、モスクワなど各国でもレストランを手掛ける。現在は、オーガニック食材の農家と、レストランを直接つなぐネットワークづくりにも携わる。「LOCAL LIFE TOURISM in INUJIMA」「LOCAL WEAR TOURISM in SADO」にシェフとして参加予定。

瀬戸内海から見た「LOCAL LIFE TOURISM in INUJIMA」の開催地、犬島。

「LOCAL WEAR TOURISM in SADO」を開催する岩首昇竜棚田。